この記事を書いた「留学パパ」はこんな人です。
「ハリーポッターが好きなので、海外の高校で寮生活をしてみたい!」
「同じ学校に通う生徒と、家族のようなアットホームか関係が築ける寮生活に興味があります。実際にはどんなところですか?」
「寮生活のメリット・デメリットを教えてください。」
そんな質問をLINE@でよくいただきます。
実際のところ、海外の高校の寮生活ってどんな感じなんでしょうか?
そして、どんな人におすすめなんでしょうか?
高校留学では人気の「ホームステイ」との違いにも触れながら、寮生活についてお話していきたいと思います。
高校留学の「寮生活」について、最も基本的な情報をお伝えしますね。
高校留学で寮生活をしたいという人は、ほぼ「私立高校(ボーディングスクール)への留学」になります。
ごく稀に公立高校で寮があるという学校がありますが、どの国でも高校留学で寮生活を希望するのであれば、私立高校一択になります。
考えてみると当たり前なんですが、日本でも同じで、公立高校って「地元の学校」ですよね?
つまり、その地域に住んでいて「家から通える学校」が公立高校です。
家から通えるのに、なぜ寮があるの?というのが大きな理由なんですね。
もちろん、田舎の学校で、「どうしても家からの距離が遠すぎる」という人のために、学校が寮を用意している場合もあります。
ちなみに、僕が通った日本の公立高校は、男子寮と女子寮がありました。(かなり田舎の高校なので・・・笑)
ということで、寮生活を考える大前提は、私立高校へ行くということになります。
私立高校と公立高校の何が違うのか?という点については、別の記事で説明したいと思いますが、簡単に違いを言うとすれば、
私立高校は小規模な学校(全校で100名〜200名程度)が多く、大学進学を目的に、そのための準備がしっかりできる学校。
公立高校は、その地域に住んでいれば誰でも行ける学校で、比較的規模が大きく(多いところでは全校生徒が1,000名以上)、進路は就職から進学までさまざま。
「大学進学を目的」というと、日本の有名進学校や予備校をイメージする人がいますが、それとは異なります。
あくまで、高校卒業後の進路が「ほぼ100%大学進学」というだけであって、日本のように受験勉強に明け暮れるということはありません。
当然、学びたいことや、やっていみたいことは自由に選んでチャレンジできます。
公立高校との違いは、将来の目標(大学ではなく仕事として)を明確に持った人が多くて、国内外から生徒が集まっているということでしょうか。(もちろん、先生方の強力なサポートもあります。)
話を元に戻しますが、そういう目的を持った人たちが、学校の敷地内で共同生活する場所が「寮(Dormitory)」です。
1日のスケジュールは決まっていて、起床時間から食事の時間、放課後の自由な時間から、部屋で勉強する時間(遊びができない時間)、そして就寝時間も決められています。
平日については外出はほぼできません。(外出が気軽にできるような都市部に学校がないケースも多いですね。)
あと、学校によって違いますが、ルームメイトがいる場合と、一人部屋の場合があります。
良く言えば「目的を持った規則正しい生活」ができますし、悪く言えば「制限の多い生活」と言えますね。(メリット・デメリットは後述します。)
同じ高校留学と言っても、「ホームステイ生活」とは、かなり内容が違って見えますね。
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私立高校なので費用も高く、どちらかと言うと窮屈そうに見える寮生活ですが、一体、どんなメリットがあるのでしょうか?
たくさんある中から、今回は大きく3つのポイントについてお話しますね。
高校留学する皆さんが一番気になることの1つが「現地での友達作り」ですよね?
ただでさえ、英語力に不安がある状態で留学するわけですから、多少なりとも「ちゃんと友達ができるかな?」と心配になると思います。
しかし、寮生活というのは、常に衣食住を共にする仲間がいます。
そして、どの生徒も親元を離れて一人でやって来た生徒ばかりです。
「スタートラインが同じ」というのは、本当に友達が作りやすい環境と言えます。
公立高校であれば、もともと小さい頃から仲良し友達がいたりして、皆さんがその輪の中に入るのは簡単ではありません。
けれども、お互いに「初めまして!」であれば、感じている不安も一緒なので、心理的に近くなるということです。
気軽に声をかけることさえできれば、親しくなるのは難しくありません。
これは最大のメリットと言っても良いかもしれませんね!
私立高校は小規模な学校が多いという話をしましたが、それは先生と生徒の距離にも大きな影響があります。
学校内であれば、クラスは少人数制で、1クラスが10名以下なんていうことも普通です。
そして、寮生活では、先生方も個々の生徒に対するフォローがしやすくなるように、同じ敷地内に住んでいることも多く、一緒に食事を食べたり、レクリエーションを楽しんだりします。
勉強のサポートはもちろんですが、プライベートな悩み相談もできるくらい距離が近いんですね。
「ホストファミリーは、家族のような関係になるのに時間がかかる(または難しい)」というのに比べて、寮生活では、周りの仲間だけでなく、先生方とも「第二の家族」になることも少なくないという話はよく聞きます。
メリット①の友達作りと同じで、高校留学に関する不安要素のほとんどが、寮生活では解決してしまうくらい、人間関係という点では恵まれた環境と言っても良いと思います。
起床時間から就寝時間まで、きっちりとスケジュールが決まっていると聞くと、一見デメリットのように感じますが、「自分のことは自分ですべてする」ということが求められるので、寮生活をすれば、必ず自立します。(というか、自立せざるを得ません・・・笑)
スケジュールが決まっていれば、「淡々とそれをこなせば良い」と考えがちですが、そんなに単純なものではありません。
限られた時間の中で、「自分は何をすべきか?」「どう工夫すべきか?」を常に考えて行動することになります。
例えば、学校での課題に対して「いつでも好きな時にできる」という状況ではないので、「この課題はいつ、どのくらいの時間をかけてした方が良いか?」を考えて、計画的に進めなければいけません。
周りの友達との関係が良ければ良いほど、逆に「他人に流される」というリスクもあるわけですから、「自分が今やるべきことは?」を常に意識している必要がありますね。
こうした生活スタイルに徐々に慣れてくると、必然的に「自分のことは自分でする」という自己管理能力が身に付きますし、結果的に自立できるわけですね。
「少人数で、先生方からのきめ細やかなフォローがあって、友達も作りやすくて、自立心も養える。」
これだけ聞くと、寮生活はかなり魅力的に感じると思います。私立高校ならではですね!
しかし、寮生活だからこそのデメリットもあります。
「高校留学で寮生活を選ぶデメリット」について、3つご紹介したいと思います。
朝起きてから寝るまでのスケジュールが決まっているということは、規則正しい生活はできますが、やはり息苦しさや窮屈さを感じることがあります。
特に思春期の中高生の皆さんにとって、「行動を制限される」というのは、相当なストレスになることがあるでしょう。
例えば、勉強などで息が詰まりそうな時、ホームステイであれば、帰宅までの時間、好きな場所に友達と出かけてストレス発散ができます。
しかし、寮生活ではそう簡単ではありません。
敷地内でもリラックスできる空間はあるでしょうけれど、それも長期間の生活となると「見慣れた風景」になりますから飽きてきます。
また、食事の時間も決まっていて、食べるものも多少の選択肢があるとは言え、たまには好きな時間に好きなものを食べたくなる時もありますね。
そうした日常の小さな出来事が積もり積もって来ると、イライラしてしまう可能性があります。
ストレスを溜めないように上手く自分をコントロールしながら生活していくことが求められるので、人によってはかなりの「修行」と言えるかもしれません。
これは寮生活のデメリットというよりも、私立高校を選ぶことのデメリットになりますね。
高校留学の大きな目的の一つが「ネイティブの学生と友達になる」という人も多いと思います。
そういう人が私立高校を選んで、寮生活を始めた時に、ふと気が付くのが「案外、ネイティブの学生が少なくて、留学生が多いなぁ」ということです。
これは事前に把握できることなので、注意していれば問題はないんですが、やはり現地の学生にとっても「私立高校は費用が高い」んですね。
現地の学生は、わざわざ高い学費を払わなくても、高校に行けるし、大学進学だってできます。
そうなると、「生徒の大多数が留学生です」という学校も少なくないというわけです。
もし、皆さんの高校留学の目的が「一人でも多くのネイティブの学生と友達なる」というものだとしたら、学校情報を正確に把握するようにしましょう!
もう一つ留学生絡みで挙げるとすると、「英語がネイティブでない学生が多い」ということは、「自分が身に付ける英語力にも影響がある」という点です。
これは「語学学校で本当に英語力が伸びるの?」という記事でお伝えしているので、詳しくはそちらを読んでもらいたいと思いますが、新しい言葉を覚える時に、触れる英語の質(インプットする英語の質)はかなり重要です。
先生方はもちろんネイティブですので、全く問題はありませんが、周りの友達の英語が微妙な言葉の使い方やアクセントだったりすると、そのままコピーして覚えてしまいがちです。
「別に伝われば良いでしょ?」と言われたらその通りですが、皆さんの高校留学する目的が、「より高いレベルの英語を身に付ける」というものだったとしたら、少し注意が必要かも知れません。
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これは高校留学で寮生活を選ぶ際の「大きな落とし穴」と言っても良いデメリットかもしれません。
少人数で和気あいあいの雰囲気で、楽しく学校生活が過ごせる場合は、何の問題もありません。
けれども、人間同士が一つ屋根の下で、朝から晩までずっと一緒に過ごすということは、何の問題もなく過ごせるということの方が稀(まれ)です。
一番の問題は、「友達との人間関係におけるトラブル」があった場合に、「逃げ場」がないということです。
信頼関係って、壊れる時は一瞬ですが、元通りにするのは何年かかっても難しいことがあります。
原因は色々とありますよね。自分が悪い場合もあれば、相手が悪い場合もあります。
どちらも悪くなかったとしても、相性の問題もあります。
一度掛け違えたボタンというのは、いくら先生方が仲裁に入ってくださったとしても、難しい時は難しいんですよね。
小さな規模の学校であればあるほど、人間関係が崩れてしまうと、その居心地の悪さは想像を絶することもあります。
そして、これが最大のデメリットになりますが、
ホームステイと違って、「嫌だからホストチェンジします」というように、住む場所を変えるわけにはいかないということです。
寮生活が上手く行かなかった場合の選択肢は「転校」以外にはありません。
公立高校の場合は、転校しなくてもホストだけを変えられるので、転校というのは最終手段になります。
仮に転校するとなっても、ハードルはかなり低くて、自分さえ新しい環境が苦にならなければ、どの学校に変わったとしても、大きな差がなく、問題はありません。
しかし、私立高校の場合は、そんなにシンプルではありません。
学校ごとに特色が違っていて、それが良さでもあるんですが、転校となると、環境の適応には相当なストレスがかかります。
今の高校がダメだからと言って、次の高校へ行くと、これまで学んでいたことはもちろん、慣れ親しんだ生活習慣とは全く異なる環境で、ゼロからスタートすることになるわけです。
それに加えて、親の立場からすると、費用面の負担が変わるという問題も想定しないといけません。
「逃げ場がない」というのは、寮生活のリスクの1つとして理解しておいた方が良いと思います。
高校留学での寮生活って、どんな環境なのか?
そして、寮生活のメリット・デメリットについて主な点をお伝えしてきました。
最初にお話したように、多くの留学生は、寮生活に対して強い「あこがれ」を抱いています。
そして、少人数できめ細やかなサポートが得られ、目的意識も高い生徒が世界中から集まってくると聞けば、とても魅力的に感じますよね。
ほとんどの高校では、「その高い費用に見合った質の高い環境」が提供されるでしょう。
しかし、それがすべての人にとって「最高の環境」か?と聞かれたら、僕も正直分かりません。
その理由の一番大きなものは、やはり、小さな学校だからこそ起こり得る「人間関係の問題」だと思います。
寮生活とは、自分と違う価値観や文化的背景を持った人たちが集まる環境です。
しかも、お互いの距離はとても近く、コミュニケーションの手段は「すべて英語」です。
ちょっとした言葉の行き違いは、日本語で伝える以上に起こり得ると思います。
さて、ここからは、皆さんが試されるところです。
自分に関わるすべての人に対して、正面から向き合う覚悟がありますか?
日本では許されていた「あやふやな言い方」や「目と目を合わさない対話」は、海外では一切通用しないばかりか、かえって誤解される原因となります。
僕はネガティブな意味でこういう質問をしているわけではありませんよ。
これこそが「寮生活をする醍醐味」だと思っているんですね!
ホームステイでは、お互いの距離感は遠いところからスタートしますが、寮生活では真逆です。
だからこそ、本気で互いに向き合うことができれば「一生涯の仲間」が手に入ります。
そして、そのプロセスにおいて、皆さんが取り組む努力はすべて、最高の経験になります。
寮生活を考えるすべての人に、その価値を理解してもらいたいと思いますし、勇気を持ってチャレンジして、素晴らしい留学経験につなげて欲しいと願っています。
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