
「高校留学させる意味って、本当にあるの?」
「大学からの留学で十分じゃない?」
親御さんから、こんな相談をいただくことがよくあります。
親世代の感覚だと、
大学留学=「王道・安心なコース」
高校留学=「ちょっと特別で、心配の多いコース」
というイメージを持ちやすいですよね。
でも実際には、「10代のうちに、日常そのものを海外で過ごす経験」には、語学力以上の価値があります。
このページでは、
- 親が高校留学に反対・不安を感じがちな5つの理由
- 高校留学と大学留学の違い
- 「うちの子」にとって高校留学が本当に合っているかを考える視点
を親御さんの気持ちに寄り添いながら、ひとつずつ整理していきます。
「なんとなく良さそうだから」ではなく、ご家族として納得して選べるかどうかを一緒に考えていきましょう。
《最初に見ていただきたい動画》

高校留学に迷う親が増えている理由と、このページの目的
最近はSNSやYouTubeで、高校留学の体験談を目にする機会も増えました。
それ自体は良いことですが、その一方でこんな声も聞こえてきます。
「本当に英語力は伸びるの?」
「未成年を海外に出して、本当に大丈夫?」
「日本の高校に行かないと中卒扱いにならない?」
「大学で留学する方が安全なんじゃない?」
つまり、高校留学に興味はあっても、「良さそうだけど、親としては不安の方が大きい」という状態で止まってしまっているご家庭が少なくありません。
そこでこの記事では、高校留学に反対・慎重になりがちな理由を、大きく5つの「親の本音」 に分けて整理していきます。
反対理由① 英語なら日本で勉強すれば良い?高校留学で伸びる「英語力」のリアル
中高生から聞く「高校留学したい理由」No.1は、やはり「英語力を伸ばしたい」です。
確かに、周りがすべて英語環境の中で生活すれば、日常生活に困らないコミュニケーション力は、多くの子が身につけられます。
では、ここで一度立ち止まって考えてみましょう。
「英語力がある」って、
具体的にどういう状態でしょうか?
- 英検◯級を持っていること?
- TOEICで◯点取れること?
- 通訳・翻訳ができるレベル?
こうした“ものさし”も大事ですが、実は本質的な英語力はそれだけでは測れません。
高校留学で多くの子が身につける英語力
ほとんどの高校留学生が身につけるのは、例えばこんな力です。
- ホストファミリーや友達と、日常会話で意思疎通できる
- 先生に授業や進路、悩みについて相談できる
- 買い物・外食・通学など、生活に必要な会話ができる
さらに、英語力や滞在期間によっては、
- 自分が履修した科目の内容や専門用語を、英語で理解できる
- プレゼンやエッセイ、レポートを書く基礎的なアカデミック英語
まで到達する子もいます。
ここまで聞くと、「思っていたよりも“現実的なレベル”だな」と感じる方もいるかもしれませんね。
「英語だけ」を目的にするなら、高校留学は必須ではない
一方で、今の日本ではオンライン英会話や海外ドラマ、YouTubeなど、日本にいながらでも英語を学ぶ手段はたくさんあります。
実際、海外経験がなくても英語を武器に活躍している人はたくさんいます。
だからこそ、
もし高校留学の目的が「英語力さえ伸びればOK」だけなのであれば、正直に言うと、僕は娘のエリンを留学させていなかった
と思います。
英語はあくまで「自分の世界を広げるための道具」です。
大切なのは、その道具を使って、
- どんな人と出会い、
- どんな経験をし、
- 何を考えるようになるのか
という「中身」の部分です。
高校留学の価値は、
英語力そのものよりも、英語を使って自分と世界を深く知っていくプロセスにあります。
英語だけなら日本でも学べる。
でも、10代のうちに「当たり前の世界」がガラッと変わる経験は、日本では得にくい。
この感覚が、高校留学を考えるときの一つの軸になると思います。
「高校留学で必要な英語力」や「出発までにどこまで準備すべきか?」が気になる方は、こちらをご覧ください。

反対理由② 未成年を海外に出すのは危険?治安やトラブルへの不安
次に多いのが、
「日本にいれば何かあってもすぐに駆けつけられるけれど、海外だと何かあったときにどうしようもない」
という不安です。
病気やケガ、治安、犯罪…
一人の親として、その気持ちは本当によく分かります。
不安の正体は「知らないこと」から来る
ここで一度、「不安の正体」を整理してみましょう。
なぜ、私たちは海外に対して強い不安を感じやすいのでしょうか。
一言で言えば、「よく知らないから」
です。
東日本大震災のとき、日本についての偏った情報や噂だけを頼りに「日本にはもう住めない」と本気で思ってしまった人たちがいたことを、覚えている方もいると思います。
私たち日本人からすれば、「いやいや、そこまでひどい状況ではないよ」という部分も多かったはずですが、知らない側からすると、どうしても想像が先走ってしまうんですね。
海外の治安や医療体制も、これと似ています。
「不安だから反対する」が本当に子どものためか?
高校留学は、子どもの将来に大きく関わる「進路」の話です。
- 情報を集めた上で「わが家には合わない」と判断する
- 何となく不安だから「やめておこう」と反対する
この2つは、表面上は同じ「反対」でも、子どもにとっての納得感がまったく違います。
不安そのものが悪いわけではありません。むしろ、不安があるからこそ、
どんなリスクがあるのか
そのリスクを減らす方法は何か
いざというとき、どこまでサポートしてもらえるのか
をしっかり調べるきっかけになります。
大切なのは、
「不安だから行かせない」ではなく、
「きちんと知った上で、どう判断するか」
という姿勢です。
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反対理由③ 英語も成績も中途半端…高校留学して挫折しないか心配
親御さんから最も多く届く相談のひとつが、これです。
「日本の高校が嫌だと言っている時点で、逃げているだけじゃないか?」
「英語も勉強も中途半端なまま海外へ行って、本当にやっていけるの?」
親としては当然の心配だと思います。
「その場の気分」だけで決める留学なら、賛成しにくい
「留学したい」と言う割には、英語学習もそこまで本気には見えないし、学校の成績も決して良いとは言えない。
この状態で、
「とりあえず留学させれば、なんとかなるでしょ?」と言われても、応援するのは難しいですよね。
僕も、ここは完全に同意見です。
思いつきだけの留学には、
親として慎重になるべき
だと思っています。
とはいえ、「今できていない」だけで未来を決めつけて良いのか?
一方で、こんな問いも大事だと思っています。
「今までできなかった・やってこなかった」という理由だけで、子どもの将来の可能性をここで閉ざしてしまって良いのか?
誰でも、何かを始める前は「素人」です。
留学も同じで、
- 出発前から完璧に英語ができる子
- 現地の授業についていけるだけの学力が最初からある子
は、ほとんどいません。
娘エリンも、渡航前は英語での意思疎通がほとんどできない状態で、いきなり現地の高校に入学しました。
最初はかなり大変でしたが、ひとつずつ壁を越えながら、今では「やって良かった」と心から言える経験になっています。

「高校留学に必要な英語力」と「今の成績」の関係
ここで押さえておきたいポイントは2つです。
多くの国・公立高校では、「完璧な英語力」は求められていない
一定の英語力が必要な学校もあります。
「中学英語+基礎的な勉強を続ける意欲」があれば、十分スタートラインに立てます。
今の学校の成績は、留学先での成功・失敗と“イコール”ではない
海外の高校では、「あなたはどう考えますか?」「なぜそう思うのですか?」と、自分の考えを言語化する力が重視されます。
日本の定期テストで高得点を取る力と、この「自分の考えを言葉にする力」は、必ずしも同じではありません。
もちろん、出発までにできる限り英語の準備をすることや、「覚悟」を行動で示すことは大前提です。
その上で、
完璧なスタートではなくても「一歩踏み出す価値」があるかどうかを、親子で一緒に考えてもらえたらと思います。
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反対理由④ 日本の高校に行かなければ「中卒扱い」になる?進路への影響は?
もう一つ、多くの親御さんが不安に感じているのが、
「日本の高校・大学というレールから外れるのが怖い」
「中卒扱いになったら、将来の就職で不利になりそう」
という点です。
卒業資格は「どの国で学んだか」ではなく「必要な単位を修了したか」
結論から言うと、
日本の高校であれ、海外の高校であれ、必要な単位を修めて卒業していれば、学歴としてきちんと認められます。
また、海外では
- 17歳で高校を卒業する子もいれば
- 19歳で卒業する子もいる
など、卒業年齢もかなり幅があります。
「同じ学年で一斉に卒業する」という感覚自体が、日本ほど強くありません。
社会が本当に見ているのは「どこで何を学んだのか」
就職活動などを考えると、「学歴」は確かに無視できない要素かもしれません。
ただ、長い目で見ると、社会で求められるのは
どんな環境で、
何を学び、
どんな力を身につけてきたのか
という、中身の部分です。
特に海外企業や外資系企業、グローバルな環境で働きたい場合は、
「何歳でどこの学校を卒業したか」よりも、「どんな経験の中で、どんな力を育ててきたか」の方が、はるかに重視されます。
また、文部科学省や「トビタテ!留学JAPAN」など、高校生段階での留学や海外経験を国として後押しする制度も整いつつあります。
「高校留学=ドロップアウト」ではなく、
「公的にも応援されている進路のひとつ」である
という視点も持っておきたいところです。
反対理由⑤ 高校から行かなくても、大学で留学すれば良いのでは?
子どもから「高校留学したい」と言われたとき、
「まずは日本の高校を卒業して、大学で留学したら?」
と返してしまう親御さんも多いと思います。
僕自身、日本の高校を卒業してからアメリカの大学に進学したので、この感覚はよくわかります。
ここで整理しておきたいのは、
「大学留学」と一言で言っても、
実はいろいろなパターンがある
ということです。
代表的な大学留学の3パターン
ケース①
日本の高校を卒業して、海外大学へ直接入学
ケース②
日本の大学に在籍しながら、半年〜1年程度の交換・派遣留学
ケース③
日本の大学に入った後、途中から海外大学へ編入して卒業
どのパターンを選ぶかによって、
- 必要な英語力
- 必要な成績・書類
- かかる費用
- 準備に必要な時間
が大きく違ってきます。
特に、ケース①・③のように「海外大学で学位を取る」場合、一般的には高校留学(公立校)の2〜3倍の費用がかかると言われますし、求められる英語力やアカデミックスキルのハードルもかなり高くなります。
「高校留学が正解」ではなく「目的から逆算して考える」
ここで大事なのは、「高校留学か、大学留学か、どちらが“正解”か?」ではなく、
「うちの子は、何のために海外へ行きたいのか?」
「その目的に合うタイミングは、高校と大学どちらか?」
という順番で考えることです。
- 10代のうちに「日常そのものを海外で過ごす経験」をしたいのか
- 大学で専門分野を学ぶときに、海外の学位を取りたいのか
- 日本の大学に通いながら、1年だけ海外でチャレンジしたいのか
目的によって、ベストなタイミングは変わります。
高校留学がすべての子にとってベストというつもりはありません。
ただ、「大学で留学すればいい」という一言で片付けてしまうにはもったいない。
高校留学には10代にしか得られない価値がある
ということをお伝えしたいのです。
高校留学に「向いている子」「向いていない子」を考える視点
ここまで読んで、
「やっぱりうちの子には、まだ早い気がする」
「逆に、早めに環境を変えてあげた方が良い気もする」
と、感じた方もいるかもしれません。
ここでは、あくまで目安となる
「高校留学の向き/不向き」を箇条書きでお伝えします。
高校留学に向いているタイプ
- 価値観の違いを面白がれる
- 正解のない問いについて、自分なりに考えるのが嫌いではない
- 新しい環境に不安はあっても、「やってみたい気持ち」が勝つ
- 英語や海外に対して、純粋な好奇心を持っている
いったん立ち止まった方がいいかもしれないケース
- 「今の状況から逃げたい」が一番の理由になっている
- 親子の会話がほとんどなく、気持ちを言葉にする習慣がない
- 「準備のための努力」をまったくしようとしない
などが挙げられます。
もちろん、これらは「チェック項目」ではなく、親子で対話をするためのヒントだと思ってください。
大切なのは、
「高校留学に行くかどうか」よりも、「高校留学というテーマを通して、親子でどんな対話をするか」
です。
後悔しないために、今できる3つのステップ(+おすすめのリソース)
最後に、「高校留学させる/させない」を決める前に、ご家庭でできるステップを3つにまとめてみます。
① 情報を整理して、親子で“共通の土台”をつくる
まずは、
- 高校留学の基本
- 費用・英語力・治安・進路
- メリットだけでなく、大変な現実
を一度「紙の本」を読んで整理しておくと、親子で話しやすくなります。
「ネットでバラバラに読んだ情報」ではなく、「一冊の本としてまとまった情報」があると、誰かの宣伝ではない、良い面も大変な面もまとめて書いてあるという安心感につながります。

高校留学の基本から、親子それぞれの不安・本音、帰国後の進路まで、「知るたび、自分と未来が広がる」本としてまとめました。
② 子どもの気持ちと親の不安を書き出して、見える化する
次に、
- 子どもがなぜ高校留学に興味を持っているのか
- 親として、どこが一番不安なのか
をそれぞれ紙に書き出してみてください。
- 「英語力が心配」
- 「治安が不安」
- 「中卒扱いになりそうで怖い」
- 「今の学校が合わない」
など、言語化してみると、本当に向き合うべきテーマが見えてきます。
その上で、
「じゃあ、まず何から知ればいいか?」
「どこまでならチャレンジしてみてもいいか?」
を話し合っていくと、「賛成・反対」の二択ではない対話ができるようになります。
③ 第三者と話して、「わが家のケース」を一緒に整理する
最後は、家族以外の第三者と話してみることです。
- 実際に高校留学した親子
- 留学サポートの経験がある人
- 海外進学に詳しい人
と話すことで、
うちだけが特別に不安なんじゃないんだ。
他の家庭は、こんなふうに決断してきたんだ。
という具体的なイメージが持てるようになります。
💬 LINE@での無料相談
「うちの場合はどう考えたらいい?」という個別のモヤモヤは、LINE@から無料で相談してもらえます。

まとめ:高校から留学するかどうかは「正解」ではなく「納得」で選ぶ
ここまで、高校留学に対して親御さんが不安に感じやすい
- 英語は日本でも学べるのでは?
- 未成年を海外に出すのは危険では?
- 英語力も成績も不十分で、挫折しないか?
- 日本の高校に行かないと中卒扱いになるのでは?
- 高校より、大学で留学すれば十分では?
という5つの理由を軸に、高校留学の価値を整理してきました。
もし「高校から留学する必要があるのか?」と聞かれたら、僕の答えはいつも同じです。
人によって違います。
高校留学がベストな子もいれば、日本の高校で力をつけてから大学で留学する方が合っている子もいます。
大事なのは、
- 周りの空気や常識だけで決めないこと
- 不安だけで可能性を閉じないこと
- 情報を知った上で、親子で納得して選ぶこと
です。
「うちの子にとって、一番納得できる選択は何か?」
この問いに向き合うプロセスこそが、
高校留学というテーマを通して得られる一番大きな「学び」なのかもしれません。
もし、今まさに迷っているなら、一度LINE@で気軽に話しかけてみてください。一緒に整理していきましょう。









