この記事を書いた「留学パパ」はこんな人

「高校留学=アメリカ」というイメージを持っている人は、とても多いと思います。
映画やドラマ、音楽、スポーツ…。
日本にいながら触れる“海外”といえば、真っ先にアメリカを思い浮かべる人も多いはずです。
実は、僕自身もアメリカの大学を卒業しているので、そのあこがれはよく分かります。
一方で、アメリカ高校留学には「想像以上に高いハードル」があることも、現実としてお伝えしなければいけません。
このページでは、
- これから本気でアメリカ高校留学を考えたい人
- 親子で「まずは情報を集めたい」と思っているご家庭
に向けて、「最初に知っておいてほしい基礎知識」を整理していきます。
重要なお知らせ(費用と為替レートについて)
この記事で紹介しているアメリカ高校留学の費用は、US1ドル=約150円 を目安に計算しています。
ご覧になるタイミングの為替レートによって、日本円での金額は変わりますので、「だいたいこのくらいの桁なんだな」というイメージで読んでいただければ大丈夫です。
アメリカ高校留学を考え始めたら、まず押さえたい全体像
なぜ「高校留学=アメリカ」と考える人が多いのか
- 日本人にとって最も身近な英語圏
- 映画やドラマ、SNS で目にする「キャンパスライフ」のイメージ
- スポーツや音楽など、憧れの対象が多い
こうした理由から、「どうせ行くならアメリカに行きたい!」という中高生がたくさんいます。
ただし、情報を調べ始めると、
「費用の大きさ」「求められる英語力の高さ」「安全面のとらえ方」など、「理想と現実のギャップ」を感じることも少なくありません。
アメリカ高校留学には大きく分けて2つのパターンがある
アメリカの高校に留学する場合、代表的なパターンは次の2つです。
卒業留学(正規留学)
アメリカの高校を卒業することが目的
主な行き先:私立高校(ボーディングスクール)
交換留学(1年未満の留学)
日本の高校に籍を残したまま、1年間アメリカの公立高校に通う
異文化交流を目的としたプログラムが中心
このページでは、それぞれの特徴やハードルについて、できるだけ分かりやすく整理していきます。
この記事で分かること
- アメリカで「高校を卒業したい人」に必要な基礎知識
- 1年間の交換留学を考えるときの注意点
- 卒業留学と交換留学のどちらを選ぶか考える視点
- カナダ・ニュージーランドなど、他の国との比較ポイント
- これから何から始めると良いかという「次の一歩」
学年別に知っておきたい人向けの関連記事
「いつから動けばいいの?」という質問もよくいただきます。
学年別に詳しく書いた記事もありますので、合わせて読んでみてください。
▶︎中学生の人向け 高校生になったら留学したいけど、中2・中3の今、何をしたら良いの?
▶︎高1の人向け 高1で学校を中退して海外の高校に編入したい!今から何をしたら良いの?
▶︎高2の人向け 今、高校2年ですが、中退して高校留学したいんです!どうすれば良いですか?
アメリカの高校を卒業したい人が知っておくべき5つの基礎知識(卒業留学)
① アメリカの高校を卒業したいなら、基本は「私立高校(ボーディングスクール)」一択
アメリカ全土には約15,000校の高校がありますが、そのうち私立高校は約1,300校と言われています。
ビザのルール上、「アメリカの高校を卒業すること」を目的とした留学ができるのは、この私立高校だけです。
多くの私立高校は全寮制(ボーディングスクール)で、
- 郊外や自然の多いエリアにある小規模な学校
- 教員もキャンパス内に住んでいる
- クラスは少人数で、きめ細かな指導が受けられる
- アメリカ人だけでなく世界中から留学生が集まる
といった特徴があります。
一方、アメリカの公立高校は、日本の小中学校と同じく「地域に住む生徒が通う学校」です。
但し、
義務教育としての側面が強いため、卒業留学(正規留学)という形で通うことはできません。
公立高校に通えるのは、後ほど出てくる交換留学(1年間限定)のケースです。
② アメリカの私立高校(ボーディングスクール)の費用感
卒業留学の大きなハードルの1つが、費用です。
授業料+寮費+食費→ 最低でも年間700万円前後
学校によっては、年間1,000万円以上かかるところも珍しくありません。
この金額は、例えば「カナダやニュージーランドの公立高校に2年間通えるくらいの費用」と考えると、桁の大きさがイメージしやすいかもしれません。
ただし、
- 少人数での手厚いサポート
- 大学進学まで見据えたカリキュラム
- ネットワーク(卒業生コミュニティ、同窓会)
などを考えると、「費用に見合う価値がある」と考えるご家庭も多くあります。
ポイント
「高いからすべて良い」「安いからダメ」という話ではない
その費用によって、どんな環境とチャンスが得られるのかを、親子で冷静に考えることが大切
各国の公立高校・私立高校の費用の全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

③ アメリカの大学進学、とくに名門大学を目指すなら有利な進路
ボーディングスクールが「質の高い教育」と言われる理由は、授業スタイルだけではありません。
アメリカの大学進学では、
- 高校の成績(GPA)
- 大学入学共通テスト(SAT・ACT)のスコア
- エッセイ(自己PR)
- 課外活動やリーダーシップの実績
などを総合的に評価されます。
ボーディングスクールは、「大学進学を前提としたカリキュラム」「SAT・ACT試験のサポート」「エッセイ指導や大学出願のサポート」が整っている学校が多く、特に名門大学を目指す生徒にとっては有利な環境と言えます。
一方、公立高校では、
「生徒の学力やモチベーションがバラバラ」「先生1人あたりの生徒数も多く、個別フォローが難しい」
といった現実もあります。
そのため、「同じ大学を目指す」と言っても、高校の取り組み方によって差が大きくなるというのが、アメリカの教育事情です。
SAT や ACT について詳しく知りたい方は、公式サイトや、別途まとめている解説記事へリンクしておくと親切です。
《参考記事》
留学に必要なSAT®とはどんなテストなのか?
ACT®とは?
④ 「入学できる英語力」と「現地で生き残る英語力」は別物
卒業留学を目指すとき、多くの人が気にするのが「どのくらいの英語力が必要か?」という点です。
入学の条件としては、
- TOEFL Junior
- ELTiS(交換留学にも使われる試験)
- あるいは学校独自のテスト
などのスコアが求められます。
英検でいうと、最低でも2級、できれば準1級レベルを目標にする高校が多い印象です。
ただし、ここで大事なのは、
「入学許可が出るための英語力」と「現地で授業についていける英語力」は別物
だということです。
実際の高校生活では、先生の説明を理解し、クラスメイトと議論したり、レポートやエッセイを書いたり、日常生活のすべてを英語でこなすという状況になります。
僕がお伝えしている目安は、
「毎日数時間以上、何らかの形で英語に触れるくらいの情熱がないと、現地に行ってからかなりしんどいと思うよ」
というレベルです。
世界中から集まる生徒たちは、「英語を勉強するために留学する」のではなく、「英語で何を学ぶか?」を考えている人たちです。
関連動画:「アメリカの高校留学で英語が難しい理由とは?」
⑤ 条件はすべて“学校ごと”に違う。だからこそ選択肢はたくさんある
私立高校への卒業留学で、もう1つ知っておいてほしいのが、
「すべての条件が学校単位で違う」
という点です。
- 求められる英語スコア
- 内申点(今通っている学校の成績)
- 面接の有無・形式(オンライン/現地)
- 学年途中からの編入が可能かどうか
- 寮の雰囲気やサポート体制
など、細かい条件は本当にさまざまです。
「アメリカの高校を卒業する」と聞くと、とてもハードルが高く見えるかもしれませんが、全米には約1,500校もの私立高校があるので、丁寧に探していけば、きっと自分に合った学校が見つかります。
最初から完璧な答えを出そうとせず、
①条件を整理する
②いくつか候補を比較する
③専門家に相談する
というステップで考えていきましょう。
アメリカに交換留学したい人が知っておくべき5つの基礎知識(1年留学)
実は、アメリカに高校留学する日本人生徒の多くは、1年間の交換留学を選んでいます。
- 日本の高校を卒業する予定だけど、1度はアメリカの高校生活を体験してみたい。
- 費用をできるだけ抑えたい
という人にとって、交換留学はとても魅力的な選択肢です。
交換留学そのものの仕組みやメリット・デメリットは、
「高校生の交換留学!どんなメリット・デメリットがあるの?知っておくべき5つのポイント!」の記事で
詳しくまとめていますので、合わせて読んでみてください。
ここでは、アメリカの交換留学に特に多い特徴と、知っておいてほしい現実を5つに絞ってお話しします。
① 費用は安いが、参加条件は意外とシビア
交換留学は、公的な仕組みを使って比較的安い費用で行けるプログラムです。
その一方で、
- 受け入れ人数(国別の募集枠)が決まっている
- 人気の高いアメリカは競争倍率が高くなりやすい
- 団体ごとに、英語試験・面接・小論文などの審査がある
など、参加条件は決してゆるくありません。
代表的な英語テストとしてはELTiSが使われ、英検で言えば2級以上を目安としている団体が多い印象です。
② 留学生向けのESLコースがない高校も多い
私費留学の場合、留学生向けの英語コース(ESL)が用意されている高校が多いですが、交換留学ではそうとは限りません。
・「異文化交流」が目的のため、ホストファミリーの地域にESLがない高校に通うケースもある
・「移民向けクラス」はあっても、「留学生専用クラス」はないこともある
その場合、英語での授業についていき、宿題やレポートをこなし、クラスメイトと交流するといったことを、すべていきなりネイティブと同じ条件でこなす必要があります。
英検2級レベルの英語力でも、最初は「何が分からないかも分からない」という状態になるかもしれません。
③ 「留学生だから特別扱い」はほとんどない
アメリカ社会には、「自立」と「自己責任」という価値観が根強くあります。
- ポツンと1人でいても、誰かが必ず声をかけてくれるわけではない
- 自分から行動しない限り、友達はできにくい
- 「英語ができない留学生だから助けてあげよう」という感覚は、日本よりずっと少ない
もちろん、優しい友達や先生に恵まれるケースもたくさんありますが、「受け身のままでは、なかなか関係が深まらない」という現実は、覚えておいた方が良いポイントです。
逆に言えば、自分から話しかけ、間違いを恐れずに参加するという姿勢があれば、そこから一気に世界が広がるのもアメリカの良さです。
④ ホストファミリーや学校が合わなくても、基本は転校・変更ができない
交換留学では、費用が抑えられる代わりに、
ホストファミリーは選べない
通う学校も選べない
基本的に自己都合での転校・帰国は認められない
というルールがあります。
もちろん、学校や生活環境の中で、自分では解決できないような大きな問題があれば話は別です。
ただ、「思っていたイメージと違う」「もっと良い場所に行きたい」という理由では、学校やホストファミリーの変更は基本的に認められません。
「自分の好き嫌いではなく、違いを通して何を学ぶか」という覚悟が求められるのが、交換留学の現実です。
⑤ 費用が安い分、安全面のリスクは高くなりやすい
アメリカ高校留学を考える保護者の方が特に心配されるのが、治安と安全面です。
- 欧米英語圏の中でも、アメリカは凶悪犯罪の発生率が高い。
でも一方で、ボーディングスクールの多くは自然に囲まれた郊外にあり、寮生活が中心で外出の機会も少なく、比較的安全な環境。
これに対して交換留学では、
- ホストファミリーの住む地域の治安は、事前に選べない
- ダウンタウンなどに遊びに行くときは、リスクを自分でも理解して行動する必要がある
という違いがあります。
団体側も安全には十分配慮していますが、「費用の安さだけに目を向けると、安全面のリスクを見落としやすい」という点は、親子でしっかり話し合っておきたいポイントです。
高校留学の治安や安全については、以下の記事を読んでいただくと、より整理しやすくなります。
▶︎高校留学の治安が心配。「本当に危険?」を整理する3つの視点

卒業留学か交換留学か?アメリカ高校留学の選び方
ここまで読んできて、
- 卒業留学(ボーディングスクール)
- 交換留学(1年間限定)
のイメージが、少し具体的になってきたと思います。
どちらを選ぶか考えるとき、僕がおすすめしている視点は次の3つです。
① 将来のイメージから逆算する
- アメリカの大学に進学したいのか
- 日本の大学・専門学校に進むのか
- 海外での経験を人生にどう活かしたいか
など、将来のイメージによって、適した留学の形は変わります。
特に、アメリカの大学進学や名門大学を目指したい場合は、ボーディングスクールからの進学ルートが圧倒的に有利になることも多いです。
② 予算とリスク許容度から考える
- どのくらいの費用までなら現実的か
- 安全面でどこまでリスクを許容できるか
- 「もし何かあったとき」に備えて、どんな準備ができるか
はっきり言うと、アメリカは「お金」と「安全面」のギャップが大きい国です。
この2つのバランスをどう考えるかは、各ご家庭の価値観によって異なります。
③ 親子で話し合っておきたい3つのポイント
- 留学の目的(何のために行くのか?)
- 留学の期間(1年か、2〜3年か)
- 学び方のスタイル(寮なのか、ホームステイなのか、日本の高校との関係をどうするか)
この3つを、親子で紙に書き出しながら言葉にしていく作業は、留学先の国やプログラムを選ぶときにも、とても役に立ちます。
他の国の高校留学とも比較してみよう(カナダ・ニュージーランドなど)
アメリカ高校留学を考えるとき、ぜひ一度は「本当にアメリカ一択で良いのか?」という問いも持ってみてほしいな、と思っています。
カナダ高校留学との比較
- 公立高校への正規留学が可能
- 留学生受け入れ体制(ESL・サポート)が整った学区が多い
- アメリカに比べて、犯罪率も比較的低いエリアが多い
- 年間費用も、アメリカの私立高校よりかなり抑えられるケースが多い
ニュージーランド高校留学との比較
- 落ち着いた生活環境で、自然が多く、治安も比較的良い
- 学年制度や評価の仕方が日本と異なるため、「自分で学びを選ぶ」感覚が育ちやすい
- 費用面でも、アメリカのボーディングスクールより現実的なケースが多い
カナダやニュージーランドの高校留学についての基礎知識は、以下の記事を読んでみてくださいね。

▶︎ニュージーランドの高校留学とは?これだけは知っておくべき基礎知識

アメリカ高校留学を目指す人の「次のステップ」
ここまで読んでいただいて、
- 「やっぱりアメリカに行きたい」
- 「他の国と比較してみたくなった」
- 「そもそも、うちの子の場合は何がベストなんだろう?」
と感じた方も多いと思います。
そんな方に向けて、次のステップとしておすすめしたい3つの方法をまとめておきます。
① 正しい情報を整理する(ブログ+書籍)
まずは、情報を**体系的に整理するための「軸」があると、とても考えやすくなります。
- ブログ記事
- YouTube
- 実際に留学した生徒さんの声
などと合わせて、留学パパがまとめた書籍『中高生の海外留学』も、親子で話し合うときの土台として役立つと思います。
② 英語力と「心の準備」を整える(SLEEK)
アメリカ高校留学では、英語力はもちろんのこと、「自分の意見を言う力」や「異文化の中でのメンタルの強さ」が、同じくらい大切です。
- 英語力アップ
- 留学生活で必要な考え方
- ホストファミリーとのコミュニケーション
などを、事前にじっくり準備することができます。
③ 自分のケースを相談してみる(LINE@無料相談)
「ここまで読んだけれど、うちの場合はどう考えたらいいの?」
「正直、不安の方が大きい…」
そんな方は、一度、個別の状況を聞かせてください。
【LINE@ 無料相談】では、留学パパと娘のエリンが、親子それぞれの気持ちに寄り添いながらお話をうかがっています。
- 今の学年や成績
- 留学したい時期
- どんな将来をイメージしているか
などを整理するだけでも、「次に何をすれば良いか」が見えやすくなります。

まとめ|「アメリカかどうか」ではなく、「自分に合う選択肢」を見つけよう
アメリカ高校留学は、必ずしも決簡単なチャレンジではありません。
だからこそ、
- ボーディングスクールで徹底的に学びたい
- 1年間の交換留学で、人生観を揺さぶる経験をしてみたい
- あるいはカナダやニュージーランドなど、別の国を含めて考えたい
といった「自分なりの答え」を見つけていく価値があります。
この記事を読んで、「思っていたより大変そうだな…」と感じた人もいるかもしれません。
でもそれは、決して「無理」という意味ではなく、
「もっとちゃんと知ろう」「自分は何のために留学したいんだろう?」
と考え始めるための、とても大切なスタート地点だと僕は思っています。
一人で考え込まず、ぜひブログや書籍、SLEEK、LINE相談なども活用しながら、あなたにとって、そしてご家族にとって納得度の高い選択肢を一緒に探していきましょう。

