
ニュージーランド高校留学のメリットは「ハードルの低さ」と「将来の選択肢」
「ニュージーランドの高校留学って、どんな良さがあるんですか?」
保護者の方から、よくこんな質問をいただきます。
- 英語力に自信がない
- 成績がそこまで高くない
- 不登校や欠席が多くて、出席日数が心配
実は、こうした不安を抱えている中高生にとって、ニュージーランドはとても「チャンスの多い国」です。
もちろん、「誰でも簡単に卒業できる」「何もしなくてもなんとかしてくれる」という意味ではありません。
大事なのは、過去よりも「これから」を見てくれる教育システムと学校が多いということです。
ニュージーランド高校留学の全体像や基本情報は、「ニュージーランド高校留学の基礎知識」の記事とセットで読んでいただくとイメージしやすくなります。
ここでは、とくに次の3つのメリットに絞ってお話ししていきます。
- 英語力・成績・出席に合わせて学校を選びやすい受け入れ基準
- 単位制と進級の仕組みによる「自分のペースで学べる」教育システム
- 帰国生入試と海外大学進学で将来の選択肢が広がる
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メリット1:英語力・成績・出席日数に合わせて学校を選びやすい受け入れ基準
他国との違い:学校ごとに受け入れ基準を決められる仕組み
カナダやオーストラリアの多くの地域では、
「州や教育委員会」が留学生の受け入れを一括で管理しているケースがよくあります。
一方、ニュージーランドでは、各高校が留学生受け入れの最終的な決定権を持っている学校が多いのが特徴です。
▶︎英語での参照記事はこちら。
そのため、
A校では「今回は難しい」と判断されても、B校では「この子ならサポートしながら受け入れたい」と判断される
といったことが現実的に起こりやすい仕組みになっています。
どんな生徒にチャンスがある?具体例でイメージする
例えば、こんな中高生をイメージしてみてください。
- 英語は中学校レベル。長文読解や英作文はまだまだ苦手
- 成績はオール3くらい。テストは得意ではない
- 日本の学校では欠席が多く、不登校気味だった時期がある
日本の進学校や一部の国・地域の高校では、書類の段階で「厳しい」とされてしまうケースもあります。
一方でニュージーランドでは、
- これからちゃんと通えるか
- 学校生活を続ける意欲があるか
- 必要なサポートをすれば、成長していけそうか
といった、「今この瞬間」と「これから」を見てくれる学校も少なくありません。
もちろん、どの学校でも歓迎されるとは限りませんが、「過去の欠席や成績だけで完全にシャットアウトされる」というケースは、他国と比べると少ない印象です。
注意点:誰でも行けるわけではない。事前準備と学校選びがカギ
ここまで読むと、「じゃあ、特に準備をしなくても、ニュージーランドならどうにかなる?」と思われるかもしれませんが、それは大きな誤解です。
- 留学の目的があいまい
- 「とりあえず日本から逃げたい」が中心の動機
- 日本でも生活リズムが大きく乱れている
こうした状態のままでは、たとえ入学できても、現地での生活や勉強が続かなくなるリスクが高くなります。
だからこそ、
- 自分がなぜ留学したいのか?
- どんな自分になりたいのか?
- どんなサポートがあれば頑張れそうか?
を事前に言語化しておくことがとても大切です。
その上で、学校ごとの特徴や受け入れ方針を丁寧に見ていくと、「自分(うちの子)にはこの学校が合いそうだ」という選択がしやすくなります。
メリット2:単位制と進級の仕組みで、自分のペースで学びやすい教育システム
ニュージーランドの高校の学年と義務教育の考え方
ニュージーランドの学校は、Year1〜13の13学年制です。
- 小学校:おおむね Year1〜8(5〜12歳)
- 中学/高校にあたるセカンダリースクール:Year9〜13(13〜18歳)
教育は通常、16歳(Year11)までが義務教育とされています。
そのうえで、ニュージーランドの高校では、
- 「学年(Year)」=年齢に応じて進んでいくもの
- 「単位(クレジット)」=科目ごとの到達度を示すもの
と、学年と単位を分けて考えるのが基本です。
単位が足りなくても進級できる?“学年”と“単位”を分けて考える
日本の高校だと、「単位が足りない=留年」というイメージが強いかもしれません。
ニュージーランドの場合は、学年(Year)は年齢で上がっていきますが、各学年で必要なクレジット(単位)をどれだけ取れたかによって、
- どのレベルの科目を選べるか
- 高校卒業資格やNCEAのレベルをどこまで取得できるか
といった、中身の部分が変わってきます。
一度取りこぼした単位も、科目の取り方や翌年の履修で取り直せるケースが多く、
「やり直しがきく」「巻き返しがしやすい」という点は、日本との大きな違いと言えます。
「誰でも卒業できる」は“楽できる”ではないという誤解に注意
よくある誤解のひとつが、
「ニュージーランドは、単位制だから誰でも簡単に卒業できる」
というものです。実際には、
- 課題(インターナル評価)が多い
- 自分で計画的に勉強しないと単位が足りなくなる
- 出席や提出物など、日々の積み重ねが結果に大きく影響する
といった特徴があり、「楽して卒業」ができるわけではありません。
むしろ、得意科目を伸ばしつつ、苦手な部分とも向き合い、自分の興味や将来の方向性に合わせて科目を選ぶという意味で、自分と向き合う時間が多い教育システムとも言えます。
留学の目的があいまいなままだと、この柔軟性がかえって負担になることもあります。
だからこそ、
「何のために留学するのか?」
「どんな自分になりたいのか?」
を出発前から少しずつ考えておくことが大切です。
メリット3:帰国生入試と海外大学進学で、将来の選択肢が広がる
帰国生入試の基本条件と、日本の大学受験でのメリット
ニュージーランドの高校に2〜3年通い、現地の高校を卒業して帰国した生徒は、
多くの日本の大学で帰国生入試の対象になります。
大学や学部によって条件は異なりますが、例としては、
- 現地高校の在籍期間(2年以上)
- 現地の高校卒業資格(NCEA Level2/3 など)の有無
といったものがよく見られます。
一般入試との大きな違いは、5教科7科目の筆記試験ではなく、英語・小論文・面接など
「これまでの経験や、自分の考え方」を重視する入試が多い、という点です。
偏差値による一発勝負ではなく、
- 留学中にどんなことを学んだのか
- どんな壁にぶつかって、どう乗り越えたのか
- その経験が、これから何に活かせそうなのか
といった、自分だけのストーリーが強みになる入試だと考えてもらうとイメージしやすいと思います。
NCEAを取ると広がる、海外大学進学の可能性
ニュージーランドの高校生は、多くの場合NCEA(National Certificate of Educational Achievement)という国家資格を目指して勉強します。
- NCEAはニュージーランドの主な高校修了資格
- New Zealand Qualifications Framework 上のレベル1〜3に相当する資格
- ニュージーランド国内の大学だけでなく、海外の大学でも入学資格として認められている
といった特徴があります。そのため、
「将来、ニュージーランドの大学に進学したい」「イギリスやオーストラリアなど、他の英語圏の大学も視野に入れたい」という場合、NCEAの取り方やレベルが非常に重要になってきます。
NCEAの仕組みやレベルごとの違いについては、
別記事「ニュージーランドの高校留学で気になる国家資格「NCEA」って何?絶対に必要なもの?」で詳しく整理していますので、関心のある方はそちらもあわせてご覧ください。

「卒業後どうしたいか?」を早めに考えておく大切さ
とはいえ、中学生・高校生の段階で、「将来は絶対に海外大学に行きたい」と決めきれる人ばかりではありません。
それでも、
- 日本の大学が第1候補
- 海外大学も視野に入れておきたい
- まだ決めきれないけれど、可能性は残しておきたい
といった「仮の方向性」を持っておくだけでも、
どのレベルのNCEAを目指すかや、どの科目をどのレベルで取るか、そしてどのタイミングで受験準備を進めるかといった、高校生活の過ごし方が変わってきます。
留学パパとしては、
「今すぐ決めなさい」ではなく、
「一緒に考えながら、自分なりの方向性を少しずつ言葉にしていこう」
というスタンスで、お子さんと向き合っていくことを大切にしています。
ニュージーランド高校留学が向いているタイプ・向いていないタイプ
向いているタイプ
ニュージーランドの高校留学がとくにおすすめなのは、例えばこんなタイプの生徒です。
- 英語や勉強に不安はあるけれど、「環境を変えて頑張ってみたい」と思っている
- 詰め込みよりも、のびのびした雰囲気の中で、自分のペースで学びたい
- 将来は日本だけでなく、海外も視野に入れて進路を考えたい
- 得意な分野(アート・音楽・スポーツなど)を学校の中でしっかり伸ばしたい
《関連記事》卒業留学(正規留学)のメリット3選|高校留学で広がる大学進学と将来の選択肢
向いていないタイプ
逆に、次のような考えが強い場合は、
ニュージーランドに限らず、高校留学そのものを一度立ち止まって考えた方が良いかもしれません。
- 「とにかく楽をして卒業できればいい」
- 「自分の生活リズムや行動は変えたくない」
- 「何かうまくいかなかったら、全部周りのせいにしたい」
留学は、今の環境を一度離れ、自分の選択と行動で日々をつくっていく経験です。
だからこそ、「今のままでもいいのか?」「少し変わってみたいのか?」という自分との対話が、とても大事になってきます。
《関連記事》高校留学はやめた方が良い?親が知っておきたい「向いてないタイプ」の5つの特徴
失敗しないために、日本にいるうちからできる3つの準備
1.英語の「基礎体力」をつける:単語・文法・多読の積み上げ
英語力に不安がある生徒ほど、
- 中学レベルの単語・文法の抜けをなくす
- 英文を「前から読んでいく」練習をしておく
- 自分の興味がある分野のやさしい英語をたくさん読む
といった基礎体力づくりが大切です。
高校留学準備レッスン SLEEK では、
英語の基礎固めと同時に、「考える力」「自分の意見を伝える力」を鍛えるレッスンも行っています。
ニュージーランドを含む高校留学を視野に入れている方には、特に相性の良いプログラムです。
2.自分の気持ちを言葉にする練習をしておく
- どうして留学したいのか
- どんなことに興味関心があるのか(部活動や趣味など)
- どんな自分になれたら嬉しいのか
こうしたことを、日本語でも英語でも少しずつ言葉にしていくと、
願書や面談、ホームステイでのコミュニケーションがぐっと楽になります。
高校留学の全体像や準備の流れを一冊で整理したい方へ
著書『中高生の海外留学ー知るたび、自分と未来が広がる本』では、「留学を考え始めたばかり」の中高生と保護者の目線で、留学のリアルを本音でお伝えしつつ、不安・疑問にやさしく解説しています。
3.家族とじっくり話す時間を持つ
最後に、とても大事なのが親子で話す時間です。
- 子どもは何を不安に感じているのか
- 親はどこに心配を感じているのか
- 留学後の進路や、帰国のタイミングをどう考えているのか
お互いの本音を、少しずつでも言葉にしていくことが、「留学してよかった」と感じられる一番の土台になります。
気になることを直接相談したい方へ
「うちの子の場合、本当にニュージーランドが合っているのか知りたい」
「不登校や成績のことを正直に相談したい」
そんなときは、LINE@の無料相談から、気軽にメッセージを送ってください。親子それぞれの気持ちに寄り添いながらお話をうかがいます。
まとめ:英語力や成績に不安があっても、「これから」を伸ばしたい人にはチャンスが大きい国
ニュージーランドの高校留学には、次のような特徴があります。
- 英語力・成績・出席日数に合わせて学校を選びやすい受け入れ基準
- 単位制と進級の仕組みによる「やり直しがきく」柔軟な教育システム
- 帰国生入試やNCEAを通じて、日本・海外どちらの進路も選べる可能性
一方で、
「楽をして卒業したい人」「自分を変えようとする気持ちがまったくない人」には、決して楽な道ではありません。
だからこそ、
「今は不安も多いけれど、これからの自分を変えていきたい」と感じている中高生にとっては、
ニュージーランドは「もう一度、学びと自分を立て直す」ことができる国です。
それぞれのペースで、親子が納得して選べる留学の形を、一緒に考えていけたらうれしいです。

