
「うちの子、英語は得意じゃないのに、高校留学なんて大丈夫かな?」
「もし現地で挫折して、途中で帰ってくることになったら…。」
そう考えると、高校留学に前向きになりたい気持ちはあっても、最後の一歩が踏み出せない…という親御さんは少なくありません。
たしかに、海外での高校生活は簡単ではありません。
ただ、これまで多くの留学生を見てきて感じるのは、
留学の「挫折」は、
英語力だけが原因ではない
ということです。
このページでは、
- 高校留学で「挫折」しやすいパターンにはどんな共通点があるのか
- 出発前の準備や、親子の「話し合い」で減らせるリスクは何か
- もし留学中に「つまずいた」と感じたとき、どう立て直していけばいいのか
を保護者目線で分かりやすくお伝えします。
「もし挫折したら…」という漠然とした不安を「もしつまずいても、こう支えていけばいい」という具体的な安心に、一緒に変えていきましょう。

英語が得意じゃない子の高校留学、「挫折が心配」になるのはなぜ?
留学パパのところには、こんな相談がよく届きます。
「英検3級でも、高校留学はできますか?」
「学校のテストでは英語の点数は良いけれど、英会話はほとんどできません。」
「英語が苦手なまま留学させたら、挫折して帰ってきてしまいそうで不安です。」
正直に言うと、答えは「Yesでもあり、Noでもある」です。
英語は「できないより、できた方が良い」に決まっています。
でも、どれだけ英語が得意な子でも、
「海外に留学して、
一度も英語に困らなかった」
という人はいません。
レベルの差こそあれ、誰だって最初は英語に苦労するんですね。
それ自体が「留学の目的」の一つでもあります。
もし「英語力が不安だから留学はさせられません」という考えだけが正しいとしたら、
「仕事の内容を100%理解していて、すぐ結果が出せないなら採用しません」
という会社にも、何も言えなくなってしまいますよね。
でも、現実にはそんなことはありません。
大切なのは、
- 最初から完璧であることではなく
- 分からないことを学び、助けを借りながら前に進もうとする姿勢
です。
高校留学の「挫折」とは?途中帰国につながる3つのパターン
ここで言う「挫折」とは、多くの親御さんが心配している、現地の高校生活が続けられずに退学・途中帰国してしまうことだと考えてください。
エリンが高校留学をする前に、留学パパ自身もいろいろ調べたり、実際の相談を受けたりして見えてきたのが、途中帰国につながりやすい3つのパターンです。
- 成績不良で、単位が取れずに行き詰まるケース
- 素行不良・ルール違反で、信頼を失ってしまうケース
- メンタル不調・ホームシックで、心が折れてしまうケース
順番に見ていきます。
挫折の理由① 成績不良で単位が取れず、進級できなくなる挫折
「挫折=成績不良」と考える方も多いと思います。
英語力の不足がそのまま成績不良につながり、単位が取れない。
→ 最終的に進級できない…
というパターンですね。
ただ、意外かもしれませんが、成績不良だけを理由に強制帰国になるケースはそれほど多くありません。
なぜかというと、海外の高校では、
テストの点数だけではなく、
- 授業態度
- 宿題やレポートへの取り組み方
- グループワークへの参加姿勢
など、「日々の取り組み方」も評価の対象になるからです。
もし結果に納得がいかなければ、
先生に理由を聞いてみる
レポートや追加課題を再提出させてもらう
再テストで挽回する
といった「やり直しの機会」が用意されていることも多いです。
つまり、成績不良で単位が取れないというのは、
能力の問題というより
「やる気の問題」に近い
と言えます。
挫折の理由② 素行不良・ルール違反で信頼を失ってしまう挫折
2つ目は、素行不良・ルール違反による挫折です。
思春期の10代は、日本にいてもいろいろな誘惑があります。
少し夜更かしをする、門限があいまい、友達とつるんで学校をサボる…。
日本では「ちょっとやんちゃ」で済んでしまうことも多いかもしれません。
ところが、留学先の国ではそうはいきません。
- 飲酒・喫煙・ドラッグなどの違法行為
- 無断外出や夜遊び
- 無断欠席・遅刻の繰り返し
こうした行動は、留学生としての信頼を一気に失う行為です。
内容によっては、一度の発覚で即時強制帰国、今後その国のビザが下りなくなる、というケースさえあります。
少し軽めに見える「学校をサボる」も要注意。
続くと学校や教育委員会から警告が来て、最終的には「○日以内に帰国するように」という通知につながることもあります。
ただし、これらは本来の意味での「挫折」ではなく、
「留学以前の問題」であり、
「本人の自覚・家庭でのしつけの問題」
だと、留学パパは感じています。
挫折の理由③ メンタル不調・ホームシックで心が折れてしまう挫折
3つ目は、メンタル面の不調が理由の挫折です。
親元を離れ、誰も知っている人のいない環境で、日本語がほとんど通じない生活を続けるのは、想像以上にストレスがあります。
- 友達がなかなかできない
- 授業についていけない気がする
- 食事や生活リズムが合わない
- ホストファミリーとうまく距離感がつかめない
こうした小さなストレスが重なっていくと、「もう頑張れない」と感じてしまうこともあります。
ただ実際には、
多くの留学生が渡航後1週間〜1か月、そして3か月前後に大きな「波」が来て、それを越えると落ち着く
というパターンをたどります。
大事なのは、その「波」が来たときに、周りの大人たちがどう支えるかです。
- 現地の学校の先生やカウンセラー
- ホストファミリー
- 日本にいる保護者
- 留学エージェントや留学パパのような第三者
など、「話を聞いてくれる大人が複数いる状態」を作っておくと、メンタルが理由の挫折はかなり防ぎやすくなります。
高校留学に必要な英語力より大切な「本気度」と準備のしかた
ここまで読むと、
「結局、英語力より『本人の本気度や情熱』が大事なんだな」と感じられたかもしれません。
その通りで、留学パパがエリンの高校留学を応援すると決めたのも、
英語が人並み以上に得意だったから…ではなく、
「日本の高校ではなく、海外の高校にチャレンジしたい!」という気持ちを泣きながら自分の言葉で話してくれたから
でした。
それでも、英語の準備をしなくていい、という意味ではありません。
「英語が不安だからやめる」ではなく「英語が不安だから準備する」
もしお子さんが、「英語が不安だから高校留学は嫌だ」というタイプなら、まだその時期ではないのかもしれません。
一方で、
「英語は得意じゃないけれど、頑張って乗り越えて、海外でしかできないことにチャレンジしたい!」
という気持ちであれば、そこからがスタートです。
日本にいる間にできる準備としては、例えばこんなものがあります。
- 英単語・英文法の「基礎」をコツコツ固める
- 毎日5〜10分でも、英語のリスニング・リーディングに触れる時間をつくる
- 英語でニュースや海外の高校生活の様子を見るなど、「英語で学ぶ」感覚に慣れておく
英語力に不安があるからこそ、
不安をゼロにはできなくても、
『ここまでやったから行ってみよう』
と思える状態まで準備することが大切です。
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出発前に『生活力・学習習慣・メンタル』を親子で整えたい方には、高校留学前準備レッスンSLEEKもおすすめです。
高校留学で挫折させないために、出発前に「親子で約束したい」3つのこと
ここからは、留学パパが実際にエリンに高校留学を許可する時に、「これだけは約束してほしい」と何度も伝えた3つのポイントをお話しします。
どれも特別なことではありませんが、この3つと向き合えるかどうかが、「挫折しにくい留学」かどうかの分かれ目だと感じています。
約束① 自分の身の回りのことは、できる限り自分でする
海外の高校生活では、寮でもホームステイでも、「自分のことは自分でする」が大前提です。
ところが、日本では、
「洗濯は親まかせ」
「部屋の片づけもあまりしない」
「ご飯が出てくるのが当たり前」
という子も少なくありません。
そんな状態からいきなり、
「自分の洗濯物を管理する」
「自分の部屋を片づける」
「ホストファミリーの一員として家事を手伝う」
という生活に変われば、当然ストレスは大きくなりますし、「生活が回らない → 学校どころではない」という挫折につながることもあります。
出発前からやっておきたい「小さな一歩」
自分の部屋の掃除
洗濯物を干して取り込む
自分の荷物の整理整頓
「料理まで完璧に!」とまでは言いませんが、少なくとも自分の身の回りのことを一通りできる状態に近づけておきたいところです。
約束② 日本の学校の勉強に、できる範囲で向き合う(目標を決める)
「高校留学するんだから、日本の勉強はどうでもいい」
こう考えてしまう中高生は少なくありません。
ただ実際には、
中学校・高校で学んだ内容そのものが、海外の授業でも役に立つ
英語で授業を受ける分、日本語での理解ができていない内容ほど、さらにハードルが上がる
という現実があります。
英語にハンデがあるのに、日本語での基礎知識まで抜けていると、授業についていくのはかなり大変です。
だからこそ、今の成績が良いかどうかよりも、
「高校留学したいと決めたからには、
今の学校の勉強にもできる範囲で向き合う」
という姿勢が大切になってきます。
- 定期テストで目指すラインを親子で一緒に決めてみる
- 苦手教科を「この単元だけはクリアする」と小さく区切る
- 宿題の「やる/やらない」で揉めないよう、ルールを話し合う
など、「約束したことを続ける力」があるかどうかを日本にいるうちに確かめておきましょう。
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約束③ 嘘をつかない・ルールを守るという「信頼関係」を大事にする
3つ目は、とてもシンプルですが、実は一番大切な約束です。
嘘をつかないこと
ルールや約束をできる限り守ること
高校留学で親御さんが一番不安に感じるのは、
「安全に過ごせるだろうか?」
「危ない目に遭わないだろうか?」
という点ではないでしょうか。
安全に過ごすためには、
ホストファミリーや学校の先生、
現地のサポーターと「信頼関係」を築けるかどうかが、何より大事です。
日本では「このくらいなら大丈夫でしょ?」と見過ごされるようなことも、海外では大きなトラブルのきっかけになることがあります。
- 事前に相談なく、夜遅くまで外にいる
- 一緒にいる友だちや行き先をごまかす
- 小さなルール違反を「バレなければいい」と思ってしまう
こうした行動はすべて、ホストファミリーや学校、エージェントとの信頼を壊し、挫折に近づく行動です。
もちろん、「一度も失敗してはいけない」という意味ではありません。
大切なのは、
失敗したときに、
素直に話し、
改善しようとする姿勢があるかどうか
です。
「当たり前のこと」のように聞こえるかもしれませんが、この3つの約束と向き合えるかどうかが、
「本気のチャレンジ」かどうかを見極める大事な材料になります。
もし留学中に「つまずいた」と感じたら?挫折を防ぐ立て直し方
どれだけ準備をしても、留学先で「もう無理かもしれない」と感じる瞬間は、誰にでも訪れます。
そんなときに大事なのは、
「つらい=すぐに帰国」ではなく、
「どう立て直せるか」を一緒に考えること
です。
ここでは、代表的なステップを簡単にまとめておきます。
- まずは、身近な大人に正直に話す
- 現地の先生やカウンセラー
- ホストファミリー
- 日本の保護者など、「一番話しやすい人」からで構いません。一人で抱え込むほど、問題は大きく見えてしまいます。
- 具体的にどこがつらいのかを言葉にしてみる
- 授業のスピードが速すぎるのか
- 友だちができなくて孤独なのか
- 生活リズムやホームステイが合っていないのかなど、「何となくつらい」を少しずつ分解していきます。
- 授業数や科目を調整できないか相談する
- 一時的に科目数を減らす
- 難易度の高い科目を別の科目に変える
- 学習サポートやチューターを利用するなど、制度的な調整で負担を減らすことも、選択肢の一つです。
- 「完璧な留学」から「自分なりのゴール」へ考え方を変えてみる
- オールAを目指す留学もあれば、まずは「1年間通いきる」ことを目標にする留学もあります。
何をもって「成功」とするかは、それぞれの家庭や本人によって違っていいはずです。
- オールAを目指す留学もあれば、まずは「1年間通いきる」ことを目標にする留学もあります。
場合によっては、
途中帰国という選択が「失敗」ではなく、
心身を守るための大切な決断になることもあります。
迷った時に第三者として相談に乗るのも、留学パパのような立場の役割です。
「本当に帰るべきかどうか」を含めて、一緒に整理していきましょう。
実際に海外に飛び立った先輩たちの声を知りたい方は、『留学大図鑑〜先輩たちの留学体験談』も役立ちます。
まとめ|高校留学で挫折しないために、英語力より「準備」と「対話」を大切に
最後に、この記事でお伝えしたかったことをまとめます。
- 高校留学の「挫折」は、英語力だけが原因ではない
- 成績・素行・メンタル、それぞれにリスクはあるものの、事前の準備と周りのサポートで多くは防ぐことができる
- 出発前に、「生活力」「日本の勉強への向き合い方」「嘘をつかない・ルールを守る」という信頼関係の3つについて、親子でしっかり話し合っておくことが大切
高校留学は、「完璧な子」だけに許されたチャレンジではありません。
不安や課題を抱えたままでも、
それを一つずつ言葉にして、準備していこうとする姿勢があるかどうか
が何より大事だと、留学パパは考えています。
さらに安心材料を増やしたい方へ
高校留学について、もっと体系的に知りたい、親子でじっくり考える材料がほしい…という方には、次のようなサポートもあります。
- 書籍『中高生の海外留学』で、全体像を落ち着いて整理したい方へ

留学パパがこれまでの経験をまとめた本『中高生の海外留学』では、
- 高校留学の基本
- 国・学校選びの考え方
- 費用や英語力の不安への向き合い方
などを、親子で読み進められる形で解説しています。
- 今の状況を誰かに聞いてほしい方へ

「うちの子の場合はどう考えたらいい?」「今こういうことで悩んでいます」など、個別の状況について相談したい方は、LINE@で気軽にメッセージを送ってください。
留学パパと娘のエリンが、できる限りお力になれればと思っています。










