
「中2の頃から不登校ですが、高校留学はできますか?」
「持病があって欠席が多いのですが、海外の高校を卒業したいです」
「受験して入った高校をやめて通信制に通っています。ここから高校留学は可能でしょうか?」
留学パパのLINE@には、こんな相談がたくさん届きます。
学校を休みがちになってしまう理由は、人それぞれです。
「このままでいいのかな…」と悩みながらも、日本とは違う教育環境で、もう一度チャレンジしたい・やり直したいと考える気持ちは、とても尊いものだと思います。
一方で、高校留学は「親元を離れ、言葉も文化も違う環境で、高校生活そのものを送る」という大きな挑戦です。
あこがれや勢いだけで乗り切れるほど、甘い選択肢でもありません。
そこでこの記事では、
不登校や欠席日数が多い人が高校留学を考えるとき、
失敗を減らすために知っておいてほしい5つのポイント
をお伝えします。


いきなり留学エージェントに駆け込むのは要注意
――「不登校」を理由に足元を見られることも
学校に行けない・行きづらい状況が続くと、「早く次の進路を決めなきゃ」「このまま時間だけが過ぎてしまうのが怖い」という焦りから、「藁にもすがる思い」で留学エージェントに相談したくなります。
ただ、ここで一つ覚えておいてほしいことがあります。
留学エージェントは
「駆け込み寺」ではなく、
「ビジネスとして高校留学を仲介する会社」
だからこそ、
「必ずしも自分にとってベストな選択肢だけを提案してくれるとは限らない」
特に「不登校」「欠席日数が多い」といったワードは、営業トークと結びつきやすいポイントです。
たとえば、こんな言葉をかけられることがあります。
- 「不登校の生徒さんを受け入れてくれる学校は、ここしかありません」
- 「日本の勉強が遅れているので、現地でも日本人スタッフによる特別サポートが必要です」
- 「トラブルに備えて“安心サポート”のオプションは必須です」
- 「うちは不登校の生徒さん専門なので、安心して大丈夫ですよ」
不安なときにこう言われると、
「ここしか頼れない」
「他の選択肢は無理なんだ」
と感じてしまいがちです。
けれども、留学パパがこれまで数十社のエージェントを歩き回って調べてきた感覚から言うと、
「不登校専門」だからといって、
その会社でしかフォローできない事情があるわけではない
というのが現実です。
むしろ、
- 少ない実績を特定の国・特定の学校に集中させる
- 「不登校向けの特別サポート」として高額なオプションをつけている
といった形で、「選択肢が狭く、費用だけ高くなる」ケースもあります。
大事なのは、エージェントに行く前に
「最低限の基礎知識」を持っておくこと。
そのうえで複数の会社から話を聞くことで、「営業トーク」と「本当に必要なサポート」を見分けやすくなります。
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不登校だった人は本当に不利?
――「欠席日数」と「理由」はきちんと見られます
次に一番多いのが、
「不登校だと、高校留学にはやっぱり不利ですよね…?」
という質問です。
結論から言うと、
欠席日数が増えれば増えるほど、
受け入れてくれる学校の選択肢が狭くなる
欠席の「理由」によっても、入学の可否が変わる
というのが現実です。
欠席理由によって見え方が変わる
ざっくり分けると、次のようなイメージになります。
- 「病気・ケガ」など、医師の診断書で説明できるもの
状況が改善していれば、きちんと説明することで受け入れられるケースも多い
- 「やる気が出ない」「学校に行く意味を感じない」など、自己都合と見なされやすいもの
欠席日数が多いほど、厳しく見られる
- 「いじめなどの人間関係」
本人にとってはとても重い事情ですが、海外側からは「自己都合」と捉えられてしまうことも多い
特に今も通院中・治療中の場合は、
現在の症状
海外での学校生活にどのくらい影響があるか
主治医の診断書の内容
などを総合的に判断して、「受け入れ可」「難しい」に分かれていきます。
「今の学校をどう過ごすか」が、留学の可能性を左右する
もし、
「まだ不登校になってからあまり時間が経っていない」
「高校留学を本気で考えたい」という段階なら、
留学先が決まるまでは、できる限り今の学校に通い続ける
ということを強くおすすめします。
海外の高校や教育委員会は、「欠席日数」について日本よりずっとシビアです。
「行ける日だけでも通う」
「医師に相談して診断書をもらう」など、
今できることを整理しながら、次のステップを考えていきましょう。
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実際に不登校だった高校生の留学体験記
「不登校高校生がアメリカに行ったら人生が変わった話」
中学〜高校期に不登校を経験 → 高校で1年半ニュージーランド正規留学し、
国立大学国際学部へ進学した大瀧さんの記事。
「習慣が変わったら人生が変わった【大瀧さんの場合】」
不登校・欠席が多くても受け入れてくれる可能性が高い国・学校
――短期/長期、私立/公立で見え方が変わる
ここまで読むと、「もう高校留学は無理なのでは…?」と不安になるかもしれませんが、状況を正直に伝えたうえで受け入れてくれる学校は、実際にあります。
ポイントは、
✅留学期間(短期か長期か)
✅公立か私立か
✅国ごとの受け入れ方針
の3つです。
短期留学(半年未満)の場合
- 単位認定をしない前提のプログラムが多く、
成績証明や欠席理由を細かく問われないケースがほとんどです。 - 「まずは海外の高校の雰囲気を体験したい」という目的なら、
不登校経験があっても選びやすい選択肢です。
長期・卒業留学の場合
ここからは条件が一気に厳しくなります。
◆私立高校
・イギリス、アメリカなど、私立しか選べない国は特にハードルが高い
・カナダ、ニュージーランド、オーストラリアでも、私立は基本的に「欠席が多い生徒」は受け入れに消極的
◆公立高校
・国や州(学区)、学校によって受け入れ方針が大きく違う
その中で、
不登校や欠席日数が多い人でも、比較的受け入れてもらいやすい可能性があるのが
ニュージーランドとカナダの公立高校
です。
- ニュージーランド
- 学校単位で受け入れの可否を判断するため、比較的柔軟な学校も多い
- ただし「どこでもOK」というわけではなく、これまでの状況を丁寧に説明することが前提
- カナダ
- 学区(教育委員会)ごとに基準があり、条件がゆるめの学区もある
- ただし「選択肢の幅」はニュージーランドほど広くない
また、
「不登校の生徒を受け入れてくれる学校が限られている」ということは、同じような背景を持つ生徒が、その学校に集まりやすい
という側面もあります。
それ自体が悪いわけではありませんが、
「目的意識がはっきりした生徒が多い学校」とは、雰囲気が少し違います。
自分自身がどんな環境で学びたいのかを、事前にイメージしておくといった視点も大切です。
オーストラリア・イギリス・アメリカについて
留学生の質や英語力を厳しく管理している国・州が多く、「欠席が多い生徒」の受け入れにはかなり慎重です。
特にオーストラリアは、ESL(英語コース)を修了しないと正規授業に進めないなど、
「本気で取り組む生徒だけ受け入れる」というスタンスがはっきりしています。
現実的な選択肢としては、ニュージーランドかカナダの公立高校を軸に検討することが多くなります。
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英語力への不安が強い人は、『英語が苦手でも高校留学できる?』もあわせて読んでみてください。

国や期間を決めるときは、費用面もあわせて整理しておきましょう。
高校生が「今の学校をやめて留学したい」と思ったとき
――通信制高校を活用するという現実的な選択
ここからは、すでに高校生になっている人向けの話です。
「受験して入った高校だけど、思っていた雰囲気と違ってしんどい」
「このまま通い続けるより、高校留学に切り替えたい」
という相談も、LINE@にたくさん届きます。
ただ、高校留学の準備には、
- 国や学校選び
- 書類の準備
- 英語の勉強
など、どうしても数ヶ月以上の時間が必要になります。
その間、今の高校に通わずに欠席日数だけ増やしてしまうと、これまで説明してきたように、留学先の選択肢がどんどん狭くなってしまいます。
そこで、現実的な「ベターな選択肢」として挙がるのが、
通信制高校に転校して、
出席扱いを確保しながら留学準備を進める
という方法です。
もちろん、
「通信制高校にもそれぞれ特徴や雰囲気がある」
「これまでの単位認定や費用面など、デメリットもゼロではない」
といった点には注意が必要です。
それでも、
「今の学校にはどうしても通えない」
「不登校のまま欠席日数だけ増やすのは避けたい」
という場合には、書類上の「見え方」を少しでも良くするための現実的な方法として検討する価値があります。
留学パパ個人としては、
ベストな選択肢は「留学先が決まるまで、できるだけ今の学校に通い続けること」
だと考えています。
そのうえで、どうしても難しいときの最終手段として、通信制高校を選ぶイメージでいてもらえたらと思います。

「高校留学が始まったら、不登校にはならない」
――海外でやり直すために必要な覚悟
最後に、留学パパが一番お伝えしたいのはここです。
高校留学が始まったら、「絶対に不登校にはならない」覚悟を持ってほしい
ということ。
日本の高校であれば、ある程度まとめて休んでしまっても、テストや補習で何とかなる
というケースもありますが、
海外の高校では、
正当な理由のない欠席が続けば、
「退学」「強制帰国」という厳しい判断が下されることも珍しくありません。
「日本の学校が合わないから、自由な海外の高校へ行けば何とかなる」と考えたくなる気持ちはよく分かります。
でも、どこの国に行っても、
- 勉強は地道で大変
- 人間関係で悩むこともある
- ホームシックや言葉の壁にぶつかることもある
という現実は変わりません。
高校留学は、「逃げ道をなくしてでも、自分と向き合う選択」です。
「つらいときにどうやって助けを求めるか」
「乗り越えるために、自分は何を変えていくのか」
を考え、行動し続けることで、日本にいたら得られなかった成長や出会いが待っています。
この記事を読んで、
「それでも海外の高校でやり直したい」
と思えたなら、その気持ちはきっと大きな力になります。
一人で抱え込まず、信頼できる大人や専門家に相談しながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
「うちの子の場合は?」と思ったら
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まとめ:不登校の経験を「高校留学での再スタート」につなげるために
この記事では、
- 不登校を理由にエージェントへ駆け込むリスク
- 欠席日数と欠席理由が留学に与える影響
- 不登校でも受け入れてくれる可能性のある国・学校
- 今の高校を辞めて留学したいときの現実的な選択肢(通信制)
- 高校留学で「再び不登校にならない」ための覚悟
という5つのポイントをお伝えしました。
不登校や休みがちな状況には、それぞれに深い背景があります。
この記事の内容がすべての人に当てはまるわけではないことも、留学パパはよく分かっています。
それでも、
思い立ったときが、新しいスタートライン
本気で取り組めば、叶えられないことは何もない
ということを、経験者として伝えたいのです。
過去の欠席日数は変えられません。
でも、「これからどう生きるか」「どんな未来を選ぶか」は、今から変えていけます。
不登校の経験を抱えたままでも、そこであきらめずにもう一度チャレンジしたいと思えたなら高校留学は、そのための力強い一つの方法になります。
「うちの子の場合はどう考えたらいい?」
「自分の今の状況でも可能性はあるのかな?」
と感じたら、ぜひ一度LINE@から相談してみてください。
あなたと、あなたのお子さんの可能性を一緒に探していけたら嬉しいです。












