この記事を書いた「留学パパ」はこんな人です。

「今の学校生活を、ひと言で言うと?」
カウンセリングで、中高生にこう聞くことがあります。
返ってくる答えは、たとえば、こんな言葉です。
「早く卒業したい」
(カウンセリングでの、ある生徒の言葉)
「刺激がない」
(カウンセリングでの、ある生徒の言葉)
「しんどいけど、今の状況を打破して変わりたい」
(カウンセリングでの、ある生徒の言葉)
隣で聞いている親御さんの顔に、ふっと影が差すのが分かります。
「この子は、今の学校から逃げたいだけなんじゃないか」
「海外に行っても、また同じことになるんじゃないか」
そう思うのは、親として当然のことです。
先に、結論をお伝えしますね。
「逃げたい」から始まっても、いいんです。逃げと選択を分けるのは、きっかけではありません。「何から離れたいか」ではなく、「向こうで何をしたいか」を、本人が自分の言葉で言えるかどうかです。
実は、僕自身も、周りから見れば「逃げた」ように見えたかもしれない若者でした(笑)
この記事は、その話から始めます。

実は僕も、専門学校を中退して海を渡りました
僕は、岡山の公立高校を卒業したあと、東京に出ました。
新聞配達をしながら、外語専門学校に通っていました。
そして20歳のとき、その専門学校を中退して、アメリカの大学に留学すると決めたんです。
せっかく入った学校を、途中でやめる。
しかも、行き先は海の向こう。
周りの大人から見れば、「逃げた」ように見えても、おかしくありませんよね(笑)
21歳で、アメリカのカリフォルニア州に渡りました。
インターネットもない時代です。
情報集めも手続きも、とにかく大変でした。
英語力も足りず、向こうに着いてからも、本当に苦労しました。
それでも、4年で現地の州立大学を卒業できました。
あのときの僕を、今の言葉で言い表すなら、こうです。
日本の「普通の道」から外れることは、決めた。
でも、外れた先で何をするかも、自分で決めていた。
どこから離れたかより、どこへ向かったか。
「逃げ」か「選択」かは、出発の瞬間には決まらないんです。
その先を、自分の足で歩いたかどうかで決まります。
「逃げ」は全力で止める。でも「逃げたい」は否定しない
誤解のないように、はっきり書きますね。
目の前の苦しみから楽になりたい、というだけで海を渡るなら、僕は全力で止めます。
言葉も文化も違う海外の高校で暮らすのは、日本の学校に通う以上に、タフな経験です。
「ここから離れたい」だけで行くと、現地で壁にぶつかったとき、踏ん張る理由がありません。
逃げた先にも、また逃げたくなる壁があるからです。
でも、だからといって、子どもの「逃げたい」を否定する必要はありません。
「今の学校が合わない」
「受験勉強に、意味を見出せない」
「志望校に落ちてしまった」
きっかけは、ネガティブに見える出来事でいいんです。
そこに「海外で、どうしてもこれをやってみたい」という本人の意志と目的が育ったとき、それは「逃げ」ではなく「選択」になります。
実は、子どもたちのほうが、この違いを真剣に考えています。
カウンセリングでは、こんな言葉にも出会います。
「そのまま苦手なことから逃げ続けていたら、成長できないと感じた」
(カウンセリングでの、ある生徒の言葉)
「やろうと思ったことに、ブレーキをかけてしまうところを変えたい」
(カウンセリングでの、ある生徒の言葉)
親が心配するより、ずっと前から。
子どもは子どもなりに、「逃げ」と「挑戦」のあいだで、ちゃんと揺れているんです。
あわせて読みたい
子どもから「留学したい」と言われたばかりの親御さんの気持ちと、エリンが「行かせてください」と言った日の話は、こちらに書いています。
「水槽の中にいた」と気づいた子どもたち
僕らは8年間、たくさんの中高生と親御さんの相談を受けてきました。
その中で、何度も見てきた変化があります。
日本では、学校を休みがちだった子。
いわゆる超進学校に通っていて、成績も悪くないのに、「何か違う」と感じて飛び出した子。
そういう子たちが、海外の高校に留学したとたん、毎日楽しんで学校に通うようになるんです。
英語ができるようになったからでも、性格が変わったからでもありません。
その子の良さが見える「物差し」が、日本では1本しか用意されていなかった。
それだけのことだったんです。
人に優しくできること。
コツコツ続けられること。
面白いことを思いつくこと。
全部その子の力なのに、テストの点数という1本の物差しの上では、どれも数字になりませんでした。
「早く卒業したい」「刺激がない」。
この記事の最初に紹介した子どもたちの言葉も、もしかしたら、物差しが1本しかない場所で、息をひそめている子の声なのかもしれません。
エリンが、こんなことを言っていました。
「点数でしか認めてもらえないから、点数が取れない子は「自分って能力がないな」と思ってしまう」
(エリン)
そして、そこで止まらないんです。
「自分はダメな人間なんだな」
「もう人生終わったな」
15歳や16歳の子が、今の自分だけでなく、これから先の未来にまで、シャッターを下ろしてしまう。
僕は、これが本当に悲しくて、もったいないことだと思うんです。
海外に出た瞬間、こうした子たちは気づきます。
これまで自分がいた世界は、水槽の中だったんだ、と。
そして、自分はもっと広い川や海に出て、自由に泳ぎ回ってもいいんだ、と、自分自身に許可を出せるようになるんです。
閉じ込められた感覚のまま毎日を過ごすより、生きるに値すると思える人生を。
これは、エリンがこの感覚について話していた言葉です。
親としても、少しだけ長く生きている人生の先輩としても、僕は同じことを願っています。
「逃げじゃないの?」と聞く前に、聞いてみてほしいこと
「何から逃げたいの?」ではなく、「向こうで何をしてみたい?」と聞いてみてください。
「逃げたいだけじゃないの?」
この言葉は、親にそのつもりがなくても、子どもには「あなたの気持ちは本物じゃない」と聞こえてしまいます。
そうなると、子どもは口を閉ざします。
だから、問いを少しだけ変えてみるんです。
向こうの学校で、何をしてみたい?
どんな毎日だったら、ワクワクする?
最初は「分からない」でも大丈夫です。
やったことがないものは、「やりたいこと」になりようがありませんから。
もし子どもが、はっきり「今の学校から逃げたい」と口にしたら。
「逃げちゃダメ」と返す前に、「そっか、逃げたいんだね」と、まずはそのまま受け止める。
そのうえで、上の2つを聞いてみてください。
「逃げたい」の隣に、「本当はこうなりたい」が、ふっと顔を出すことがあります。
それを、親子で一緒にのぞき込んでみる。
そこから先は、一緒に考えればいいんです。
最後に、毎日学校へ向かうのは本人です
環境が変われば、気持ちも変わることがあります。
でも、海外の高校でも、朝起きて、毎日学校へ向かうのは、本人です。
親が「行かせた」留学は、つらくなったとき、「親のせい」になります。
本人が「選んだ」留学は、つらくなったとき、「自分で選んだんだから」と踏ん張る理由になります。
だから、親にできるのは、答えを決めてあげることではありません。
子どもが「逃げ」を「選択」に変えていく時間を、信じて待つことです。
話し合った結果、「今は行かない」と決めてもいい。
日本で、別の道を選んでもいい。
それも、子どもが自分で選んだなら、立派な「選択」です。
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まとめ:「どこから」ではなく「どこへ」
- 「逃げたい」から始まってもいい。逃げと選択を分けるのは、きっかけではない
- 分かれ目は、「向こうで何をしたいか」を本人が自分の言葉で言えるかどうか
- 目の前の苦しみから楽になりたいだけなら、現地で踏ん張る理由がない
- 日本で物差しが1本しかなかっただけで、海外で毎日楽しく通うようになる子もいる
- 「逃げじゃないの?」ではなく、「向こうで何をしてみたい?」と聞く
- 「逃げたい」と言われたら、「そっか、逃げたいんだね」とまず受け止める
- 親が「行かせた」留学ではなく、本人が「選んだ」留学に
「うちの子の『留学したい』、逃げなのかな」
「どう聞いたら、本音が出てくるんだろう」
そんなときも、一人で悩まずに気軽に相談してください。
留学するかどうかを決める前の段階から、一緒に考えます。
LINEで相談するときは、次の3つがあると、一緒に整理しやすくなります。
1 行きたい理由を1行(「逃げたい」でもいいし、「変わりたい」でもいい)
2 期間の希望(短期?1学期?1年?卒業まで?)
3 不安のトップ3(英語・費用・安全・進路など)
もちろん、まだ何も決まっていなくても大丈夫です。
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