この記事を書いた「留学パパ」はこんな人です。

行きたいとは言うけど、本気には見えなくて…
イメージが湧いていないのか、ふわっとしているんです。
なんだか、親の私ばかりが焦っている気がします。
LINEには、こんなメッセージが本当によく届きます。
子どもの将来を思うからこそ、選択肢を広げてあげたい。
でも、子どもの「行きたい」が、どこまで本気なのかが分からない。
先に、結論をお伝えしますね。
「本気かどうか」を確かめるより先に、親が焦るのをやめることです。子どもの心は、親の説得では動きません。本人が自分の目で見た「リアル」に触れたとき、自分から動き出します。
偉そうに書いていますが、実は僕自身が、「娘は本気じゃない」と思い込んでいた父親でした。
この記事は、その話から始めます。

実は僕も、娘が本気だとは思っていませんでした
僕は、21歳でアメリカに渡り、現地の大学を卒業しました。
インターネットもない時代で、英語力も足りず、向こうでは本当に苦労しました。
だから、娘のエリンのことも、こう考えていたんです。
「日本の高校を卒業してから、行きたいと思えば行けばいい」
もっと正直に言うと、中学生のエリンを見て、
「今のやる気と英語力じゃ、海外では到底通用しない」
「留学は、そんな甘いものじゃない」
と思い込んでいました。
留学を経験した親でさえ、これです(笑)
今思えば、いちばん本気じゃなかったのは、娘ではなく僕の想像力のほうでした。
そのころのエリンは、英語にも海外にも、まったく興味のない普通の中学生でした。
中学1年生のころは、「日本で生きていけるのに、なんで英語なんて勉強しなきゃいけないの?」と言っていたくらいです(笑)
中学1年生の冬休みに、家族で初めてアメリカのサンフランシスコに行ったときのことです。

見るものが珍しくて、エリンは街角の新聞の販売機にまでカメラを向けていました(笑)
そして、街を歩きながら、しみじみと言ったんです。
「英語って、本当に話されている言葉だったんだ〜」
教科書の中にしかなかった英語が、目の前で、本当に人と人とをつないでいる。
中学生にとっては、それくらい「知らない世界」だったんですね。
でも、この頓珍漢なひと言が、のちの高校留学につながる、最初の小さなきっかけになりました。
娘の心を動かしたのは、説得ではありませんでした
エリンが中学2年生になる少し前、僕は仕事に行き詰まって、転職を考えていました。
どうせなら、自分が本当にやってみたかったことを仕事にしよう。
そう決めて、以前から気になっていた「海外留学」について勉強を始めたんです。
調べていくうちに、中学生や高校生でも、海外の高校に入学して卒業できる「正規留学」という道があることを知りました。
中学2年生の冬。
僕はエリンに、これだけを伝えました。
「高校留学という選択肢もあるよ。
興味があれば、春休みまでに自分で調べてごらん」
背中は押しませんでした。
決めるのは、本人だと思っていたからです。
エリンが惹かれたのは、英語ではありませんでした。
時間割を自分で組めること。
心理学、犯罪学、ロボットや車の仕組み、ビジネス。
日本の高校にはない科目が、ずらりと並んでいることでした。
やったことがないものは、「やりたいこと」になりようがありません。
知らなかった世界を知ったとき、初めて「行ってみたい」が生まれたんです。
そして、中学3年生になる春休み。
家族旅行で訪れたハワイで、決め手になる出会いがありました。

現地で、高校留学を経験した人に話を聞いたとき。
迷いのない答えが、即座に返ってきました。
「高校から行けるなら、絶対に行った方がいい」
(ハワイで出会った、高校留学の経験者)
振り返ると、エリンの心が動いたのは、こんな順番でした。
1 中1の冬 サンフランシスコで「英語って、本当に話されている言葉だったんだ〜」
2 中2の冬 「高校留学という選択肢もあるよ」とだけ伝えられる
3 そのあと 時間割を自分で組める、日本にはない科目に惹かれる
4 中3の春休み ハワイで「絶対に行った方がいい」と言われる
どれも、親が言って聞かせたものではありません。
エリンが自分の目と耳で触れた「リアル」でした。
僕がしたのは、「こんな道もあるよ」と、扉の場所を教えたことだけです。
親にできるのは、扉の場所を教えるところまで。開けるのは、子ども自身。
では、僕がエリンの高校留学を応援すると決めたのは、いつだったのか。
英語の成績でも、「頑張ります」という約束でもありませんでした。
そして、ハワイ旅行の最終日の夕食。

エリンは泣きながら、自分の言葉で、僕たちに話してくれました。
日本の高校ではなく、海外の高校にチャレンジしたい、と。
「高校留学に行かせてください」
親が言わせた言葉ではありません。
「今のやる気と英語力じゃ通用しない」と思い込んでいた父親の前で、14歳の娘が、自分の意志で、人生で初めての大きな決断をした瞬間でした。
家族みんなで泣いたことを、今でもよく覚えています。
応援すると決めたのは、その時です。
子どもの本気は、親が試して確かめるものではないんですね。
子どもが自分の言葉で話したとき、ちゃんと伝わってくるものなんです。
同じ家で育っても、子どもはまったく違う
実は、僕には娘が二人います。
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エリンの3つ上の長女は、性格がまったく逆。
英語には相当な苦手意識があって、極度の人見知り。「海外なんて夢のまた夢」という子です(笑)
同じ旅行で、同じ景色を見ても、二人が感じたことはきっと違っていたはずです。
同じ親に、同じ家で育てられても、子どもは一人ひとり違います。
だから僕は、「何がなんでも留学すべき」とは、まったく思っていません。
それに、思春期の子どもの気持ちは、本当に揺れ動きます。
昨日言っていたことと、今日言っていることが全然違う。そんなことは日常茶飯事です。
親から見て「本気に見えない」のは、本気じゃない証拠ではなく、揺れている途中なのかもしれません。
カウンセリングで、ある生徒がこんなことを言いました。
「今、自分が留学について全然不安になってないことが、一番不安です」
(カウンセリングでの、ある生徒の言葉)
思わず笑ってしまいましたが、すごくまっすぐな言葉だと思いませんか。
親からは「ふわっとしている」ように見えても、子どもは子どもなりに、ちゃんと自分の心をのぞき込んでいるんです。
僕がいつもお伝えしているのは、
留学のいちばんのタイミングは、中3でも高1でもなく、「本人が本気で行きたいと思った時」だということです。
親が「今がベストだから」と背中を押しても、本人の心に火がついていなければ、現地での毎日は乗り越えられません。
「うちの子には無理」は、だれの声?
高校留学の話をすると、親御さんから、こんな反応が返ってくることがあります。
「いや、うちの子には無理です」
これが、すごく早いんです(笑)
考えている時間が、ほとんどありません。
反対に、「行かせたい」気持ちが先に走ってしまう親御さんもいます。
カウンセリングでは、こんな言葉もよく聞きます。
「本当に自分で考えた方がいいなと思うけど、それを黙ってられない」
(カウンセリングでの、ある保護者の言葉)
「アドバイスするのはいけないなとは思ってるけど、止められない」
(カウンセリングでの、ある保護者の言葉)
「無理」と決めつけるのも、「行けば変わる」と押すのも、どちらも親の愛情です。
ただ、そこで一度だけ、立ち止まってみてほしいんです。
この「無理」や「行かせたい」は、子どもの声だろうか。それとも、私の声だろうか。
僕が書籍『中高生の海外留学』に書いた中で、いちばん大事にしている言葉があります。
子どもが一番つらく悲しいのは、失敗することより、大事な人から信じてもらえないこと。
逆に、大事な人から信じてもらえることは、子どもにとって一番の幸せです。
その安心が土台になって、子どもは自分の道を自分で切り開いていきます。
焦らずに待つことは、何もしないことではありません。「あなたが自分で決めるのを、信じているよ」と伝え続けることなんです。
本気に見えないわが子に、親ができること
答えを急かさず、子どもの言葉の「中身」を一緒に考えることです。いきなり「海外」の話をする必要はありません。
たとえば、子どもがこんなふうに言ったとします。
「(今の学校生活をひと言で言うと)刺激がない」
(カウンセリングでの、ある生徒の言葉)
「しんどいなって思ったけど、環境を変えたい」
(カウンセリングでの、ある生徒の言葉)
ここで「じゃあ留学だね!」と飛びつくと、子どもはスッと引いてしまいます。
先に一緒に考えたいのは、その子が言う「刺激」や「環境」って、何のことなんだろう?ということです。
友達のことかもしれない。
決められたことばかりの毎日のことかもしれない。
自分で何かを選んでみたい、という気持ちかもしれない。
そして、その子が求めているものが、もし海外にあると分かったとき。そこで初めて、子どもの心は動き出します。
だから、いきなり海外の話をしなくていいんです。
たとえば、夕ごはんのあとに、こんなふうに聞いてみる。
今の学校の、どんなところが窮屈?
本当は、どんな毎日だったらワクワクする?
答えを評価したり、正解に導こうとしたりせずに、ただ面白がって聞く。
「へぇ、それいいね」「それ、海外の高校だと授業にあるらしいよ」くらいの温度で。
エリンの心が動いたのも、英語の話ではなく、時間割や科目の話でした。
子どもの「やってみたい」は、こういう何気ない雑談の中から、ふっと顔を出します。
親の仕事は、それを急いでつかまえようとせずに、出てくるまで面白がって待つことです。
あわせて読みたい
子どもの「環境を変えたい」が、今の学校から逃げたいだけなのか。それとも、自分で選んだ道なのか。その見分け方は、こちらに書いています。
話し合った結果、「今は行かない」でもいい
こんな活動をしていて言うのもおかしな話ですが、僕らにとって一番大事なのは、留学そのものではありません。
子どもの気持ちです。
そして、子どもが自分の将来を「自分で考えて、自分で決める」ことを応援することです。
だから、親子でたくさん話した結果、「今は行かない」と決めるご家庭があってもいい。
日本の高校で、やりたいことを見つける子もいます。
高校を卒業してから、大学や仕事で海外に出ていく子もいます。
大事なのは、親の不安や期待で決めたのではなく、子どもが自分で考えて選んだかどうか。
自分で選んだ道なら、どの道を選んでも、それは子どもの「自信」になります。
留学は、ゴールではありません。
子どもが自分の可能性に気づいて、自分の人生を選んでいくための、選択肢の一つです。
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子どもの「行きたい」を受け止めたい。でも、夫(妻)が反対している。そんなときの話し合い方は、こちらに書いています。
まとめ:「本気かどうか」より先に、親が焦らない
- 「本気に見えない」のは、本気じゃない証拠ではなく、揺れている途中のことが多い
- 子どもは、知らないものを「やりたい」とは言えない。心が動くのは、本人が「リアル」を見たとき
- 子どもの本気は、親が試して確かめるものではない。エリンの本気が伝わったのは、泣きながら自分の言葉で話してくれたとき
- 留学のいちばんのタイミングは、本人が本気で行きたいと思った時
- 「無理」も「行かせたい」も、一度「これは誰の声?」と立ち止まる
- いきなり海外の話をせず、「どこが窮屈?」「どんな毎日ならワクワクする?」と面白がって聞く
- 親にできるのは、扉の場所を教えるところまで。開けるのは子ども自身
- 話し合った結果、「今は行かない」でもいい。子どもが自分で決めることが一番大事
「うちの子、本気に見えなくて」
「親の私が先走っている気がする」
そんなひと言からでも大丈夫です。
留学するかどうかを決める前の段階から、一緒に考えます。一人で悩まずに、気軽に相談してください。
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