この記事を書いた「留学パパ」はこんな人です。

留学してみたいけど、英語でちゃんと話せるのかな…
うちの子、授業で自分から手を挙げるタイプじゃないんです。
高校留学を考え始めた中高生からも、親御さんからも、本当によく聞く不安です。
読むことや書くことは、時間をかければなんとかなる。
でも、話すことは、その場で言葉にしないといけません。
言いたいことが英語で言えなかったら、留学先で困らないのか。
先に、正直な答えをお伝えしますね。
はい、困ります。でも、それで留学が無理になるわけではありません。言葉が出てこないときに助けてくれるのは、「聞き上手」でいること、短い言葉で伝える「逃げ道」を持っておくこと、そして言葉以外の方法でも自分を伝えること。見られているのは英語のうまさではなく、「伝えようとする姿勢」です。
まずは、なぜ「言えない」がそんなにつらいのか、から見ていきましょう。

正直に言います。言いたいことが言えないと、困ります
会話は、キャッチボールのようなものです。
相手がゆっくりボールを投げてくれればいいんですが、現地の人たちは、容赦なく「豪速球」を投げてきます(笑)
「留学生だから」と、ペースを合わせてくれる人は、ほとんどいません。
待ったなしの会話についていけない。
言いたいことが、その場で言葉にならない。
これは、想像以上にストレスです。
なぜなら、「自分の伝えたいことを表現できない」ということは、自分の存在価値を見失うことにもつながるからです。
笑顔だけは、欠かさなかったエリン
娘のエリンは、誰とでも分け隔てなく話せるのが、持ち味の子です。
でも、留学前の英語の準備が足りなかったこともあって、渡航した直後は、言いたいことが言葉になりませんでした。
口数は、ぐっと減りました。
それでも、笑顔だけは欠かさずに過ごしていたそうです。
周りの子たちから見れば、
「いつも笑顔でそばにいるけど、何を考えているのか分からない、おとなしい子」
に見えていたかもしれません。
本当の自分を分かってもらえない。
そのつらさから、電話口で涙することもありました。
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エリンがそのとき電話で何と言って泣いたのか。そして、そこからどう変わっていったのかは、こちらに書いています。
海外では「言わない」は「思っていない」と受け取られる
日本では、言葉にしなくても、周りが察してくれることがありますよね。
でも、いろんな国の人が一緒に暮らす国では、この「暗黙の了解」が通じません。
言葉にしなければ、「何も考えていない」「特に意見はない」と受け取られてしまうんです。
授業のグループワークで、黙ったまま座っているのが、いちばんよくない。
エリンも、そう話しています。
分からないなら、先にこう伝えてしまえばいいんです。
I’m an international student. I didn’t understand the question.
(留学生なので、今の質問が分からなかったんです)
たったこれだけで、周りの反応はまったく変わります。
じゃあ、海外ではとにかくたくさん話さないといけないのか。
実は、そうでもないんです。
たくさん話せなくていい。「聞き上手」は世界共通で好かれる
ここで、ひとつ考えてみてほしいことがあります。
人は、「本当に伝える必要のあること」を、
いつも言葉にしているでしょうか?
とくに、「話すのが好き」という人に考えてほしい問いです。
言わなくていいことや、たいした話ではないことまで話してしまって、誤解されたり、人間関係がこじれたりしたこと、ありませんか?
英語が話せないうちは、ほとんどの留学生が、エリンのように黙りがちになります。
でも、それは見方を変えれば、「人の話をよく聞いている」状態です。
人間関係でいえば、いちばん好かれるタイプのひとつなんですね。
「この人、素敵だなぁ」と感じる人って、自分の話を聞いて、共感してくれる人ではないですか?
これは日本人だけでなく、世界中の人に共通しています。
黙っているのではなく、「反応する」
ただし、聞き上手は「黙っている人」とは違います。
相手の目を見て、大きくうなずく。
そして、簡単な英語で、気持ちをたっぷり込めて反応する。
✔ Wow!(うわー!)
✔ Really?(本当に!?)
✔ That’s cool!(それ、いいね!)
これだけで、「この子は、自分の話に興味を持ってくれている」と伝わります。
相手は気持ちよく話してくれて、会話はちゃんと成り立つんです。
日本人は、もともと場の空気を読んで、相手を思いやるのが得意ですよね。
無理によくしゃべる人になろうとするより、その力を生かした方が、ずっとラクです。
言葉が出てこないときの「逃げ道」を持っておく
とはいえ、自分から言いたいことも、もちろん出てきます。
言葉に詰まる場面は、どれだけ準備しても、誰にでも必ずやってきます。
だから、「絶対に詰まらないようにする」のではなく、「詰まったときにどう切り抜けるか」を持っておく。
それだけで、話すことへの怖さは、ずいぶん小さくなります。
逃げ道① 直訳しないで、別の言葉で近づく
「獣医になりたい」と言いたいのに、veterinarian という単語が出てこない。
そんなときは、知っている言葉で近づけばいいんです。
a doctor for animals(動物のお医者さん)
と言えば、ちゃんと伝わります。
逃げ道② まず短く言って、あとから付け足す
日本語は、結論が最後に来ます。
そのまま英語にしようとすると、途中で頭が真っ白になります。
まず I think so. や I like it. と短く結論を言って、Because…(なぜなら)
とあとから付け足せばいいんです。
逃げ道③ 考える時間をもらうひと言
黙り込む代わりに、こんなひと言を声に出しながら考えれば、会話は止まりません。
✔ Let me think.(ちょっと考えさせて)
✔ How can I say…(なんて言えばいいかな)
✔ It’s like a…(〇〇みたいな感じで)
もうひとつ、大事なことがあります。
分からないときに、分かったふりをしないこと。
エリンは、渡航前の中高生にいつもこう伝えています。
親友をつくるカギは、分かったふりをせず、
正直に「分からない」と言うこと。
言葉だけが、伝える方法じゃない
エリンが受けた「English 10」(現地の国語にあたる英語の授業)で、自分のこれまでを書く「自叙伝」の課題がありました。
英語の文章だけでは、現地の生徒にはかないません。
そこでエリンは、その自叙伝を「飛び出す絵本」にして提出したんです。
言葉で勝負できないぶん、プラスアルファの表現で伝える。
それがきっかけで、その先生とぐっと仲良くなりました。
ポスター、スライド、絵、動画。
そして、毎日の笑顔も。
言葉が足りなくても、自分を伝える方法は、いくらでもあります。
問題は、英語が下手なことではない
たどたどしい英語だということは、最初に挨拶した瞬間に、相手はちゃんと分かってくれます。
現地の人にとって、英語がうまくないことは、たいした問題ではないんです。
人と人との関係で大切なのは、「あなたは、どんな人なのか?」ということ。
問題は英語力ではなく、
落ち込んで、目の前のことを楽しめなくなる「自分」。
卑屈になってしまうと、その人の魅力は半減して、関わりたいと思ってくれる人も減ってしまいます。
それは、本当にもったいないことです。
日本にいる今から、できること
言葉が出てこないつらさを、少しでも小さくするために。
出発前にできることを3つ挙げます。
1 英語で日記を書く。「出来事」+「誰と・どこで・何を」+「そのときの気持ち」。書いた表現を、次の日に口に出して使ってみる
2 自分だけの「短いひと言リスト」を、スマホのメモに作っておく(Let me think. など)
3 英語で自己紹介と、「自分はどう思うか」を言う練習をしておく
エリンが渡航前の中高生に伝えている日記の書き方は、まさに「話すための準備」です。
書いた言葉は、口から出てくるようになるからです。
エリンが作った留学準備講座「SLEEK」では、相手の話を引き出す質問のしかたや、会話がはずむ反応のしかたを、渡航前に練習します。
保護者の方へ:「言いたいことが言えない」と電話が来たら
留学が始まると、「話せなくてつらい」と、子どもが泣いて電話してくることがあります。
そんなとき、すぐにアドバイスをしたくなりますよね。
でも、まずは、子どもの話を最後まで受け止めてあげてください。
言葉の壁にぶつかって落ち込むのは、心の「筋肉痛」のようなものです。
親が深刻になりすぎず、落ち着いて聞いてあげることが、いちばんの支えになります。
気持ちを吐き出せたら、答えを渡すのではなく、こう聞いてみてください。
どうなったら、うれしい?
そのために、明日できることは何かな?
答えは、子どもの中にあります。
まとめ:言えないときこそ、「伝えようとする姿勢」が見られている
- 言いたいことが英語で言えないと、正直、困る。存在価値を見失うほどつらいこともある
- 海外では「言わない」は「思っていない」と受け取られる。分からないときは、先に「分からない」と伝える
- たくさん話せなくていい。反応のある「聞き上手」は、世界中で好かれる
- 言葉に詰まったときの「逃げ道」(別の言葉で近づく・短く言う・考える時間をもらう)を持っておく
- 言葉だけが伝える方法じゃない。絵本でも、笑顔でも、自分は伝えられる
- 問題は英語力ではなく、落ち込んで目の前のことを楽しめなくなること
- 親は、アドバイスより先に受け止める。答えは子どもの中にある
この話は、Podcast「高校留学.fm」の第105回「海外で言いたいことが英語で伝えられなかったら困らないの?」でも、エリンと話しています。
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