この記事を書いた「留学パパ」はこんな人です。

子どもには、グローバルな教育を受けさせてあげたい。
でも、いきなり一人で海外に送り出すのは、やっぱり不安で…
わが子の海外留学を考え始めた親御さんの多くが、最初はこんな気持ちを抱えています。
そして、そう悩んだときに頭に浮かぶのが、もう一つの選択肢。
日本国内の、インターナショナルスクールです。
親元から通えるインターなら、英語の環境も手に入るし、留学の代わりになるんじゃないか?
お子さんのことを一番に考えているからこそ出てくる、とても自然な発想だと思います。
でも、少し立ち止まって考えてみてほしいんです。
インターナショナルスクールと高校留学は、本当に「同じゴールへの別ルート」なのでしょうか。
先に、結論をお伝えしますね。
インターは、高校留学の代わりにはなりません。インターは素晴らしい選択肢ですが、手に入るものが違います。違いは4つ。教室の外の暮らし、考えるための言葉、卒業したあとの道、そして「誰が選ぶか」です。どちらが良い・悪いではなく、お子さん本人が何を求めているかで、選ぶ道が変わります。

なぜ、インターに心が傾くのか
最近は、海外の名門校の分校をはじめ、国内のインターナショナルスクールがどんどん増えています。
「わざわざ海外に行かなくても、国内で国際的な教育が受けられる」。そう考えるご家庭が増えているんです。
親御さんがインターに惹かれる理由は、だいたいこの3つです。
1 目の届くところにいてくれる安心。何かあっても、すぐに駆けつけられる
2 日本の進学のレールから、大きく外れずに済む
3 日本円で学費が決まるので、先の予定が立てやすい
どれも、子どもを守りたいという、親の愛情から出てくるものです。
海外に出すことへの不安(治安、勉強の遅れ、挫折)も、もちろんあると思います。
それぞれ、くわしく書いた記事があるので、気になるところから読んでみてください。
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治安の心配と、日本の勉強の遅れについては、こちらに書いています。
では、インターと高校留学は、何が違うのでしょうか。
違い① 教室の外:自分から言わなければ、誰も気づいてくれない
インターの教室の中は、英語の世界です。
授業は英語で、ディスカッションもあり、多様な文化にも触れられます。
でも、一歩校門を出れば、そこは日本語の世界。
家に帰れば、温かいご飯があって、何でも分かってくれる親がいます。
あえて一言で言うなら、インターには「揉めること」が少ないんです。
高校留学は、違います。
学校の中だけでなく、帰る家の中まで、言葉も常識も違う世界です。
家族ではない人たちと、毎日いっしょに暮らす。
「言いたいことが伝わらない」「自分の常識が、相手の非常識になる」。そんなことが、日常的に起きます。
ホストマザーに、「ハグして」と頼みに行った夜
娘のエリンは、カナダに渡って1週間ほどで、ホームシックになりました。
きっかけは、ホストファミリーの2歳の男の子が、ママにぎゅっとハグしてもらっている姿を見たことでした。
そのとき、電話で話を聞いた留学ママは、エリンにこう言ったそうです。
ホストマザーのところに行って、「寂しいの、ハグして」って言ってみたら?
甘えられたら、人はうれしいもの。
それは、国や人種が変わっても同じだからです。
エリンは、自分の口でホストマザーに頼みに行って、ハグしてもらいました。
黙っていたら、誰も気づいてくれない。
だから、自分から言葉にする。
家に帰れば日本語で全部分かってもらえる環境では、なかなか起きない場面です。
この「自分から言わないと、何も始まらない」経験の積み重ねが、子どもを大きく変えていきます。
違い② 「英語が話せる」と「英語で考えられる」は別のもの
インターを考える一番の理由は、英語力だと思います。
たしかに、小さいころから英語の環境にいれば、日常の会話はとてもなめらかになります。
発音も、ネイティブに近づくでしょう。
でも、「英語が話せること」と、「英語で深く考え、学べること」は、まったく別の力です。
カナダの言語学者ジム・カミンズ博士は、言葉の力を2つに分けて考えました。
日常の言葉(BICS)
あいさつや雑談など、毎日の生活で使う言葉。
身につくまで、1〜2年ほどとされています。
学ぶための言葉(CALP)
抽象的なことを理解したり、筋道を立てて考えたりするための言葉。
身につくまで、5〜7年以上かかるとされています。
母語(日本語)で考える力が育ち切る前に、第二言語の環境に入ると、
日本語でも英語でも、深く考えることが難しくなってしまう場合があります。
「英語はペラペラなのに、文章題が理解できない」
「自分の意見を、深く掘り下げて話せない」
これは、華やかに見えるバイリンガル教育の裏側で、実際に悩んでいる親御さんがいる現実です。
留学パパの考え:根っこは日本で、枝葉は海外で
だから僕は、こう考えています。
小学校までは日本の教育で、日本語で考える力と、
自分の「根っこ」を育てる。
そして、中高生で海を渡る。
小さいころからインターに通うことが間違いだ、という話ではありません。
何を、どの順番で育てるか。その選び方の話です。
自分で「なぜ?」と問いを立てられるようになる中高生の時期だからこそ、
海外の「あなたはどう思う?」から始まる授業を、自分の力にできるんです。
留学の準備でいちばん大事なのは、実は英語より日本語。
日本語で考えられないことは、英語でも考えられないからです。
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海外の授業で求められる「考える力」と、選べる科目のことは、こちらに書いています。
違い③ 卒業したあと、どこへ進めるか
もうひとつ、インターを選ぶ前に、必ず知っておいてほしいことがあります。
日本にあるインターナショナルスクールの多くは、学校教育法で定められた「一条校」ではありません。
そのため、卒業しても、日本の高校を卒業したことにはならない場合があります。
日本の大学に入る資格は、国際的な評価団体(WASC、CIS、ACSIなど)の認定を受けた学校の12年の課程を修了していることなどで認められます。
くわしい条件は、文部科学省の「大学入学資格について」に書かれています。
学校によって状況はまったく違うので、インターを選ぶなら、
「この学校を卒業したら、日本の大学に進めるのか」
を、入る前に必ず学校に確かめてください。
中には、インターに通いながら、日本の受験のために塾にも通わせるご家庭もあります。
インターの課題と受験勉強の板ばさみで、子どもが疲れ切ってしまう。
それでは、何のためにインターを選んだのか分からなくなってしまいますよね。
一方、高校留学で現地の高校を卒業すれば、
日本の大学(帰国生入試など)にも、海外の大学にも、道が開けます。
違い④ 誰が選ぶか
ここが、いちばん大事なところです。
実は、「本当は海外の学校に行ってみたい」という気持ちがあるのに、親に言い出せない子が、とても多いんです。
どうせ、お金がかかるって言われる。
海外は危ないからダメって、反対される。
今の成績じゃ無理だって、言い負かされる。
親の反論を先回りして想像して、
最初から「留学には興味がない」と思い込むことで、自分の心を守っている。
賢い子ほど、そうなりがちです。
親の「安心したい」という気持ちだけで、国内に留めるのでもなく。
親の「強く育ってほしい」という期待で、海外に押し出すのでもなく。
両方のリアルを、お子さんに見せてあげてください。
そして、答えを先に言わずに、こう聞いてみてください。
あなたは、どう思う?
僕自身も、エリンの留学を考え始めるまでは、
「日本の高校に進学するのが、唯一の選択肢」
だと、何の疑いもなく思い込んでいました。
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子どもの本当の気持ちの聞き方は、こちらに書いています。
比べてみると
最後に、2つの道を並べてみます。
学校の中
国内のインター
英語で学び、多様な文化に触れられる
高校留学
英語で学び、多様な文化に触れられる
学校の外と家
国内のインター
日本語の世界。家に帰れば、何でも分かってくれる家族がいる
高校留学
家の中まで、言葉も常識も違う世界。自分から言葉にしないと、何も始まらない
英語の使い方
国内のインター
学ぶための言葉
高校留学
学ぶための言葉であり、生きていくための言葉
始める時期
国内のインター
小さいころから通う子も多い
高校留学
日本語で考える根っこができた、中高生から
卒業したあと
国内のインター
学校によって大きく違う。日本の大学に進めるか、入る前に確認が必要
高校留学
現地の高校を卒業すれば、日本の大学にも海外の大学にも道がある
費用は何に払うか
国内のインター
学校の中の英語環境
高校留学
学校の外の暮らしまで含めた、まるごとの経験
もちろん、インターが合うご家庭もあります。
海外の大学に進むという、はっきりした目標があって、ご家庭の覚悟もあるなら、インターは素晴らしい環境になります。
「英語を学ぶ」だけなら、インターでも、国内の英語塾でも、方法はいくらでもあります。
でも、英語を道具にして、誰も自分のことを知らない場所で、自分の居場所をゼロから作っていく。
その経験は、海を渡らないと、手に入りません。
まとめ:「代わり」ではなく、「何を手に入れたいか」で選ぶ
- インターは素晴らしい選択肢。でも、高校留学の代わりにはならない
- 違い① 教室の外:留学は、家の中まで「自分から言わないと始まらない」世界
- 違い② 「英語が話せる」と「英語で考えられる」は別。根っこは日本で、中高で海外へ
- 違い③ インターは、卒業したあと日本の大学に進めるか、入る前に必ず確認
- 違い④ 親の安心でも期待でもなく、子ども本人に「あなたはどう思う?」と聞く
- どちらが良い・悪いではなく、何を手に入れたいかで選ぶ
この話は、Podcast「高校留学.fm」の第175回「インターナショナルスクールが流行っているみたいだけど…」でも話しています。
僕はこれまで8年間、5,000人を超える中高生と親御さんの相談に向き合ってきました。
留学を選んで旅立ったご家族も、考えた末に国内の進学を選んだご家族も、どちらも応援してきました。
「何が何でも留学しましょう!」などとは、微塵も思っていません(笑)
ただ、選択肢を正しく知らないまま、自分に合った選択をすることはできません。
「インターと高校留学、うちの子にはどちらが合うんだろう?」
「留学の良さは分かった気がするけれど、まだ踏み出せない…」
そんなときは、一人で抱え込まずに、気軽に相談してください。
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