この記事を書いた「留学パパ」はこんな人です。

1年留学したら、留年になるって言われた…
日本の数学や国語、歴史ができなくなるのが不安
帰ってきてから、大学受験に間に合うの?
LINE無料相談やカウンセリングで、保護者の方から特によく聞かれるのが、こうした「日本の勉強が遅れるのでは」という心配です。
先に、正直にお伝えしますね。遅れる部分は、あります。海外にいる間は、日本の国語や古文、日本史は学べません。学校によっては、1年留学すると進級できないこともあります。
ただ、「遅れる」という言葉の中には、いくつかの違う心配が混ざっています。それを分けて考えると、ほとんどは出発前に親子で決めておくことで備えられます。この記事では、「遅れ」の中身を整理して、留年・日本の勉強・大学受験のそれぞれに、どう向き合えばいいかをお伝えします。

「遅れる」の中身は、3つに分けられる
「留学すると遅れる」という不安は、だいたい次の3つに分けられます。
| どんな心配? | 決め手になること | |
|---|---|---|
| ① 学年 | 進級できる?留年になる? | 在籍している高校の規定と、校長先生の判断 |
| ② 日本の勉強 | 国語・古文・日本史・数学などが遅れる? | 帰国後に日本の受験をするかどうか |
| ③ 大学受験 | 帰ってきてから間に合う?不利になる? | どの入り方(入試の方式)で大学を目指すか |
そして、もう一つ。親と子で、心配していることが違うことがよくあります。保護者の方が気にしているのは、進級や受験といった「制度」の話。お子さんが気にしているのは、「仲のいい友達と一緒に卒業できない」「文化祭や体育祭に出られない」といった「気持ち」の話です。同じ「1年遅れる」でも、話している中身が違うと、家族の話し合いがかみ合いません。まずは、どちらの心配なのかを分けてみてください。
① 学年:1年留学して進級できるかは、在籍校しだい
国の制度としては、海外の高校で学んだ分を、日本の高校の単位として最大36単位まで認められる仕組みがあります(文部科学省「高等学校等における外国留学時認定可能単位数の拡大」)。つまり制度の上では、1年間留学しても元の学年に戻り、同級生と一緒に3年間で卒業することもできます。
ただし、実際に単位を認めて進級させるかどうかは、在籍している高校の判断です。「1年以上行くと留年になる」「留学扱いにするには、現地の公立校に通うことが条件」など、学校ごとに規定はまったく違います。留学中に学べない科目を理由に、単位を認めない学校もあります。
「制度があるから大丈夫だろう」と思い込んだまま話を進めるのが、いちばん危険です。留学を決める前に、担任の先生に確認してください
確認しておきたいのは、次のことです。
- 学校に留学の制度(留学扱い)があるか。休学扱いになるか
- 留学中の単位を、何単位まで認めてもらえるか
- 帰国後、元の学年に戻れるか。1学年下がるか
- 学校に出す書類(留学計画書など)と、その締め切り
- 出発と帰国の時期に、決まりがあるか
3か月・半年・1年の留学と単位の関係は、「3ヶ月・半年・1年未満の高校留学をしたい人が後悔しないために知っておくべきこと」にもまとめています。
卒業まで行く(卒業留学)なら
海外の高校の卒業を目指すなら、日本の高校とどう関わるかを先に決める必要があります。全日制の高校を途中でやめると、海外の高校を卒業するまでは、最終学歴が「中学校卒業」になります。そのため、通信制高校に移って在籍を続けながら準備する人もいます。通信制高校の中には、留学先で学んだ分を単位として認める仕組みを持つ学校もあるので、選ぶときに確認してください。
高校生になってから留学を考えている人は、「高1で中退して高校留学・編入したい人へ|知っておくべき3つのポイント」と「高2で中退して高校留学したい人へ「ベストなタイミングと注意点」」、中学生の人は「中3からでも間に合う高校留学|2027年度の国別申込時期と準備スケジュール」も読んでみてください。
出発前の今、日本の勉強と英語の準備をどう両立する?
「日本の高校を1年楽しんでから行くか、中学を卒業してすぐ行くか」「塾や学校の勉強から、いつ英語の準備に切り替えるか」。出発前のご家庭からも、よく聞く迷いです。
日本の高校を少し経験してから行く良さはあります。ただ、日本の高校の定期テストや課題をこなしながら、留学に向けた英語の準備や書類の準備を進めるのは、実際にはかなり大変です。日本の高校に一度入ってから行く場合は、在籍校の留学の規定や、退学・休学のタイミングにも気をつける必要があります。
どちらが正解ということはありません。何年行くのか、帰国後にどうしたいのかが決まると、「今、何にどれだけ時間を使うか」も自然に決まってきます。だからこそ、まずそこを親子で話してください。
② 日本の勉強:遅れるのは事実。でも、それだけで測らないで
留学している間は、日本の国語や社会は学べません。受験向けの数学や理科の問題を解く力も、日本にいるときより落ちるでしょう。帰ってきてすぐの日本の試験で、同級生より点数が低くなることはあります。これは隠さずにお伝えします。
でも、その期間に、お子さんは何もしていないわけではありません。海外の高校では、授業中の発言や課題、プロジェクトで成績がつき、「自分はどう考えるか」を毎日のように問われます。英語で学び、英語で考え、言葉も文化も違う人たちの中で自分の居場所をつくる。日本のテストでは測れない力を、毎日使って過ごしているんです。
僕は、「学力」をテストの点数だけで測ってしまうと、留学の本当の価値は見えにくくなると思っています。一時的に試験の成績が下がったとしても、長い目で見れば大きな問題ではありません。生きていくために必要な学びは、学生時代で終わるものではないからです。
帰国後に日本の受験をするなら
それでも、帰国後に日本の大学を受けるなら、準備は必要です。大事なのは、どの科目を、いつ、どれくらいやるかを出発前に決めておくこと。留学中にオンラインで日本の勉強を続ける人もいますが、現地の授業と生活に慣れるまでの最初の数か月は、そちらを優先してください。慣れないうちに両方を抱え込むと、どちらも中途半端になってしまいます。
🎧 留年や日本の勉強のことは、エリンとPodcastでも話しています
- Podcast 第93回(2025年3月4日):帰国後の「留年」が気になって一歩踏み出せません!
- Podcast 第80回(2024年12月3日):卒業留学する人にとって「日本の学校での勉強」はどれくらい必要?
③ 大学受験:入り方が変わった今、「遅れる」とは限らない
親世代が思い浮かべる大学受験は、当日のテストの点数で決まる「一般入試」だと思います。でも今は、入り方がずいぶん変わりました。
2023年度の大学入学者のうち、半数以上(51.4%)が、総合型選抜か学校推薦型選抜で入学しています(文部科学省の調査をもとにしたベネッセ教育総合研究所のまとめ)。書類や面接、小論文で、「何に関心を持ち、何をしてきて、大学で何を学びたいか」を見る入り方です。
この入り方と、留学の経験はとても相性がいいんです。ただし、「留学しました」「英語が話せます」だけでは評価されません。なぜその国を選んだのか、現地で何に困って、どう向き合ったのか。それを自分の言葉で語れるかどうかが見られます。うまくいかなかった日のことこそ、書き留めておいてください。
| 留学の形 | 使いやすい入り方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1年前後の留学(日本の高校に戻る) | 総合型選抜・学校推薦型選抜。一般選抜も目指せる | 帰国生入試は、多くの大学で「海外の高校に2年以上在籍」「海外の高校を卒業」などが条件なので、使えないことが多い |
| 卒業留学(海外の高校を卒業) | 帰国生入試(帰国子女入試)、総合型選抜、海外の大学 | 大学ごとに出願の条件(滞在年数、卒業時期、成績、英語の試験など)が違う。早めに調べる |
一般入試(学力試験)だけで勝負するなら、留学は不利に働きます。高3の夏に帰国してから切り替えるのは、時間的にかなり厳しいので、どの入り方で大学を目指すかを、出発前に決めておくことが大切です
ちなみに、僕のこれまでの相談の経験からの推計ですが、3か月以上の高校留学をした人の約8割は、日本の大学に進学しています(公的な統計ではありません)。留学したら日本の大学には行けない、ということは決してありません。海外の高校を卒業するルートと大学進学の関係は、「卒業留学(正規留学)のメリット3選|高校留学で広がる大学進学と将来の選択肢」でもくわしく書いています。
受験についてもっと知りたい方は、noteの「「留学したら受験に遅れる…」それは、親世代の話です」(2026年8月9日)と「留学した子の8割が、日本の大学に進学しているという話」(2026年7月17日)も読んでみてください。
🎧 留学と進路の関係は、Podcastでも話しています
- Podcast 第35回(2024年1月23日):高校留学したら本当に進路にとって有利なの?
子どもが本当に気にしているのは、「友達と一緒に卒業できない」こと
保護者の方の心配は、調べれば答えが出ることが多いです。でも、お子さんが引っかかっているのは、友達との関係の方かもしれません。「みんなと一緒に卒業したい」「日本の高校の行事も楽しそう」。その気持ちは、本当に大切なものです。
ただ、どれだけ仲が良かった友達とも、卒業すれば進路は分かれていきます。今の距離感が、一生続くわけではありません。そして、人生の中で1年や2年の差は、思っているよりずっと小さいものです。
僕自身、日本の大学受験で第一志望に落ちて、20歳を過ぎてからアメリカに渡りました。大学生になったのは21歳です。今でいう「ギャップイヤー」ですが、当時はただの「落ちこぼれ」でした。それでも、その回り道があったから、今の僕があります。帰国してから1〜2年かけて、本当に行きたい大学を見つけて入った留学経験者も、僕は知っています。
この話は、noteの「「高校生で留学すると卒業が遅れる」が心配な方へ。僕が大学生になったのは21歳です」(2026年8月24日)にくわしく書いています。
出発前に、親子で決めておきたい3つのこと
何年、海外で過ごしたい?(1年で戻る?卒業まで?)
帰ってきたら、どの入り方で大学を目指す?(日本の大学?海外の大学?)
今の高校とは、いつ、誰が、どう話す?
そして最後に、「あなたはどうしたい?」。遅れることを恐れて決めるのではなく、その時間で何を手に入れたいかで決めてほしいと思います。答えは、お子さん自身の言葉で聞かせてもらってください。
まとめ:「遅れ」は、出発前の準備でほとんど備えられる
- 「遅れる」の中身は、学年・日本の勉強・大学受験の3つ。親と子でも心配が違う
- 進級できるかは在籍校しだい。決める前に担任の先生に確認する
- 日本の勉強が一時的に遅れるのは事実。でも、テストだけで留学の価値は測れない
- 今は大学入学者の半数以上が総合型・推薦型。留学経験は、語れれば強みになる
- 何年行くか、どの入り方で大学を目指すかを、出発前に親子で決めておく
「うちの子の学校の場合は?」「1年と卒業まで、どちらがいい?」。そんな段階でも、気軽に相談してください。「いくつか話を聞いて、かえって迷ってしまった」「まずは急がずに、じっくり整理したい」という方も、安心してどうぞ。無理な押し付けや、留学ありきの話は一切しません。
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「留学すると日本の勉強が遅れて学力が低下するのでは?」という問いへの留学パパの答えも、1冊にまとめています。書籍『中高生の海外留学 知るたび、自分と未来が広がる本』




